イメージの百人一首71「夕されば―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第71首】
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く
《ゆうされば かどたのいなば おとずれて あしのまろやに あきかぜぞふく》

 あなたは、普段住んでいる都の喧噪を離れ、自然豊かな別荘地に来ています。親戚の所有する別荘から、外を見渡してみると、季節は秋、周囲は一面、黄金の輝きを放つ稲穂で満ちています。時は、夕暮れ。ふと見ると、門前の田の稲葉が柔らかに揺れて、そよそよとした音が立っているのが聞こえます。あなたのもとを、爽やかな秋風が訪れてくれたようです。

 大納言経信《だいなごんつねのぶ》

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