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イメージの百人一首46「由良のとを―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第46首】
由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな
《ゆらのとを わたるふなびと かじをたえ ゆくえもしらぬ こいのみちかな》

 あなたには、思いを寄せる相手がいます。しかし、これから先、この恋がいったいどのような進展を見せるのか、あなたにはまったく分かりません。それは例えるならば、流れの激しい海峡で、かじ(=船を操るための道具)をなくしてしまった船頭のようなもの。舟を進ませるために何をすることもできずただ水の流れに翻弄されるしかないように、あなたは、恋を深めるために自ら何をすることもできず、ただ時の流れにその身を委ねるしかないのです。

 曾禰好忠《そねのよしただ》

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