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イメージの百人一首45「あはれとも―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第45首】
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
《あわれとも いうべきひとは おもおえで みのいたずらに なりぬべきかな》

 あなたには、恋人がいます。あなたから言い寄って、一時は良い仲になったものの、その後冷たくなり、今では会ってもくれなくなりました。打ちひしがれたあなたは、せめては、そんな自分自身のことを、可哀想だと思ってもらいたいと願いますが、あの人はそのようなことさえしてくれそうにはありません。このまま、報われない思いを抱いて、最愛の人に何とも思われないまま死んでいくに違いないのだと思うと、胸が暗くなるのを覚えます。

 謙徳公《けんとくこう》

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