イメージの百人一首48「風をいたみ―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第48首】
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな
《かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもうころかな》

 あなたは海岸に立っています。激しい風が吹いて水面は荒れています。大きな波が立って、岩にぶつかってはくだける様子がはっきりと見えます。それを見たあなたは、まるで自分のようだと思います。

 あなたは今成就する当てのない恋をしていて、思いを寄せている人がいるのですが、その人の冷淡さはまるで岩のようであって、その岩に砕けて散ってしまう波があなた自身のように思われるのです。何度波が岩に寄せても岩はびくともしないように、何度思いを寄せてもあの人はびくともしないのでした。

 源重之《みなもとのしげゆき》

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