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イメージの百人一首43「逢ひ見ての―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第43首】
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり
《あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり》

 あなたにはずっと恋い焦がれていた人がいます。昨夜、とうとう、その人と一晩過ごすことができました。そうして、翌朝、帰宅すると、あの人のことが恋しく思われてたまりません。とうとう体を交えて、その分だけ、いっそう心も交えることができたあとになってみると、ますます想いが募ってしまいます。今のこの気持ちに比べれば、逢瀬を遂げる前のあの人への恋心はなど、なにほどのものでもなかったように思われるのです。

 権中納言敦忠《ごんちゅうなごんあつただ》

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