イメージの百人一首59「やすらはで―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第59首】
やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな
《やすらわで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな》

「今夜必ず行くよ」
 恋人からの連絡を当てにして、あなたはその訪れを待っています。日が暮れ月が現われて、今か今かとその時を待ちます。しかし、一向に恋人は現われません。じっと起きて待っているあなたの目に、月が西の空に傾くのが見えます。

 とうとう恋人は現われませんでした。一晩中起きていたあなたは悲しいやら悔しいやら、こんなことなら、少し待って来なかった宵のうちに、さっさと寝てしまえばよかったと、ため息を落とします。

 赤染衛門《あかぞめえもん》

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