見出し画像

女の子とウサとの哲学的会話「運命って、決まっているの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ、運命ってあるの? 人生の中で何が起こるのかってあらかじめ決まっているのかな?」
ウサ「その、『あらかじめ』っていうのはいつの話をしているの?」
サヤカ「わたしが生まれる前だよ……あっ、でも、生まれる前なんて考えることができないわけだから……そうすると、運命なんて無いのかな……」
ウサ「でも、運命ってありそうな気がするよね。運命を認めるっていうのは、どういうことをしているかっていうとね、それは、自分自身を、自分の世界の中の登場人物の一人にするってことなの」
サヤカ「自分自身を自分の世界の中の登場人物の一人にする?」
ウサ「そう。この世界の中に、サヤカちゃんっていう登場人物がいて、そこに何らかの役割が設定されているって思って、それが運命なんだって考えるのね。でも、サヤカちゃん自身は、サヤカちゃんの世界の登場人物の一人じゃないでしょ? だって、サヤカちゃんが死んじゃったら、それと一緒にサヤカちゃんの世界も終わっちゃうんだからね」
サヤカ「わたしと一緒に世界も終わる……?」
ウサ「そうだよ。サヤカちゃんが生まれるのと一緒に世界が始まって、サヤカちゃんが死ぬのと一緒に世界が終わること、これがこの世界の運命だってことは言えるかな」

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。