第49首 雪解けの道

※このノートでは、春の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第49首】
 雪ふかき 岩のかけ道 あとたゆる 吉野の里も 春は来にけり
《ゆきふかき いわのかけみち あとたゆる よしののさとも はるはきにけり》
(千載和歌集/待賢門院堀川《たいけんもんいんのほりかわ》)

【イメージ】
 雪が深く積もり、岩を削って作った山道がすっかりと途絶えてしまう。
 厳しい冬の日々。
 今、暖かな風が吹く。
 吉野の里にもようやく春が来たのだなあ。

【ちょこっと古語解説】
かけ道……険しい山道。また、険しい山道に板などを棚のように組んで設けた道。かけぢ、とも。
吉野……奈良県吉野郡のこと。
にけり……「に」は、元の形は「ぬ」で、完了を表す助動詞。「~た」ほどの訳。「けり」は何かに気がついたことを表す助動詞。「~だったのだな」ほどの訳。

※コメント無用に願います。

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