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イメージの百人一首14「陸奥の―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第14首】
陸奥の しのぶもじずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに
《みちのくの しのぶもぢずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに》

 あなたは古都を訪れています。この都が栄えていたのは、今は昔のこと、どことなく品がありながらも鄙びた風情の中で、美しい姉妹に出会います。あなたは一瞬で恋に落ちて、彼女たちに心乱れてしまいます。たとえるなら、そう、それはまるで陸奥(=今の東北地方の東半分)で染められる「しのぶもぢずり」という衣の模様のよう。それほど気持ちが乱れてしまったのは、自分のせいではなくて、彼女たちのあまりの美しさのせいだと、あなたは吐息をもらします。

 河原左大臣《かわらのさだいじん》

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