あなたを待っている日本酒がある……かも

日本酒の話をしたい。

日本酒が好きだ。美味い。それは、もう美味い。ビールやワインやウイスキーなども、それはそれで美味いのだけれど、日本酒の美味さは抜群である。現に日本にいると、日本のあれこれなど普通のことになってしまっていて、日本にいることに大した感謝などしないのだけれど、日本酒が簡単に手に入ることには素直に感謝できる、日本人でよかった。それくらい美味い。

特に、福島の日本酒が美味い。福島住まいだから、福島のひいきをしているんだろうと言われると、そういうこともないわけではないとは思うけれど、福島の日本酒の中でも好きではないものもあるから、福島の酒だから美味いと言っているわけではないと思う。他県にもたくさん美味しいお酒があって、近県を見渡してみても、山形や宮城などは特に多いと感じるけれど、やっぱり、福島の酒が美味い。

以下、わたしが美味いと思う福島の酒蔵の一部である。

奥の松酒造(二本松市)
大七酒造(二本松市)
人気一酒造(二本松市)
渡辺酒造本店(郡山市)
笹の川酒造(郡山市)
仁井田本家(郡山市)
金水晶酒造(福島市)
開当男山酒造(南会津町)
国権酒造(南会津町)
会津酒造(南会津町)
花泉酒造(南会津町)
鶴乃江酒造(会津若松市)
花春酒造(会津若松市)
宮泉銘醸(会津若松市)
末廣酒造(会津若松市)
山口(会津若松市)
曙酒造(会津坂下町)
榮川酒造(磐梯町)
稲川酒造店(猪苗代町)
笹正宗酒造(喜多方市)
ほまれ酒造(喜多方市)
峰の雪酒造場(喜多方市)
会津錦(喜多方市)
有賀醸造(白河市)
鈴木酒造店長井蔵(山形県長井市《※もともとはいわき市にあったので》)

これらの酒蔵の酒には、各種コンテストで金賞を取ったものが多々あり、しかし、その辺のスーパーで普通に売っているのである。他県に住んでいたら、福島の酒がそんな風に気安く取り扱われていることなど、ありえない。福島の美味しいお酒を飲みたかったら、ネットで注文する他ないだろう。本当に福島は、日本酒好きには、天国のような県なのではないかと思う。まあ、原発のことがあるので、実際は、天国よりは多分に地獄に近い県ではないかと思うのだが、少なくとも、美味い日本酒が飲めるという点では、他県の追随を許さないのではないかと思う。……日本酒を飲むようになってから他県に住んだことないので、正確には分からないが。

日本酒にはいろいろな名称がついている。純米吟醸無濾過生原酒みたいな。ちょっとだけお勉強。とりあえず、覚えておきたいのが、「大吟醸」と「吟醸」。お酒を造るための米を酒造好適米と言うのだけれど、これは普段食べているお米よりも粒が大きめである。この米を使って酒を造るわけだが、食米を食べるときと同じように、精米を行う。ここで、問題。食べるお米の場合、玄米から精米するときは、どのくらい削っているでしょうか? 正解は、一割です。もったいないですな。もったいないから、わたしは玄米で食べています。ウソ。別にもったいないからではなくて、健康のためです。それは、それ。では、お酒を造るとき、その酒造好適米を、どのくらい削るかというと、それが、大吟醸とか吟醸という名称と関係があって、50%以上削ると、大吟醸になる。40%以上削ると、吟醸という名称になるのですね。どっちにしても、そんなに削っちゃうわけですよ。白米の比じゃないですな。なんでそんなことするのかというと、お米の周辺部分というのがお酒を造るときには雑味になるそうなんです。だから、周辺を削って、中心部しか使わないようにするというわけ。

ついでに、「精米歩合」という言葉も覚えておきましょう。日本酒の瓶のラベルに、精米歩合60%とか、55%とか書いてある。これは、どのくらいお米を削ったかという数値を表わしているわけだけれど、気をつけておきたいのは、たとえば、精米歩合60%と書いてあるときには、60%削ったわけではないということである。そうではなくて、精米して残った分が60%ということなのだ。つまりは、精米歩合60%というのは、100-60=40で、もとのお米を40%削って作ったということだ。精米歩合で言えば、50%以下が大吟醸であり、50%~60%が吟醸ということになる。

勉強になったかな。日本酒選びに迷ったら、とりあえず、「大吟醸」という名称のものを買っておけばいい。そんだけお米削って作っているので、割高だけれど、その分、たいていは美味い。大吟醸を名乗っているのに美味くなかったら、それはもうやばい。詐欺。その蔵の他の酒は推して知るべし、飲まなくてもいい。

わたしは、吟醸酒を好んで飲んでいる。特に新しい蔵の酒を飲むときは。大吟醸が美味いのは当たり前であり、美味くなかったら値段も高いし最悪だからね。吟醸酒を飲んで、その蔵の大吟醸の美味さに思いを馳せ、時至ればそれを買うという風にしている。

みなさんも、日本酒飲んでみたらどうだろうか。このところ、ちょっとした日本酒ブームになっているけれど、まだまだ、敬遠されている向きもあるのだろうか。日本酒なんて、おっさんがグチを言いながら飲む、むやみと臭い酒、というイメージを持っているとしたら、それは、まったくの間違い。綺麗なお姉さんが夜景を見ながら飲むのにふさわしい、香り高くフルーティなものがいくらでもある。米から作ってるはずなのに、どのような魔法がかけられているのか、メロンやライチやピーチの香りや味わいのするものが、もうたくさんあるのですよ。

日本酒ブームで、あんまりはやりすぎるのもそれはそれでちょっと困る面もある。人気出過ぎると買えなくなっちゃうから。全国的にも人気がある、福島の日本酒、たとえば、「飛露喜」や「寫楽」といった酒は、地元でも、なかなか置いている酒屋が無い。しかし、まあ、飛露喜や寫楽に頼らなくても、それに勝るとも劣らない酒がいくらでもあるから、構わないと言えば構わない。有名酒以外でも本当に美味しいお酒はいくらでもあるので、日本酒飲み始めた人は、なんとかの一つ覚えみたいに、獺祭ばかり飲んでいないで、他の日本酒も試してみるといいですよ。ま、獺祭は確かに美味いですけどね。

有名酒について、ちょっと一言。名が知れ渡っている日本酒でも、そうは言っても所詮、酒は嗜好品なので、合う合わないがある。お隣の新潟県に「越乃寒梅」という地酒ブームの火付け役となった有名酒があるが、わたしは、これは合わない。美味いと感じない。なぜかと言われても、分からない。合わないもんは合わない。まあ、しょうがない。我慢して飲むもんじゃないし。そういうわけで、もしも、有名酒を飲んでみて、美味くないと感じても、悲観しないでほしい。あなたに合う日本酒はきっとある。どこかであなたを待っていますよ。多分ね。

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