イメージの百人一首78「淡路島―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第78首】
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守
《あわじしま かようちどりの なくこえに いくよねざめぬ すまのせきもり》

 あなたは旅をしています。季節は冬、夜になって、須磨の地に到達すると、淡路島から飛び通ってきたのでしょうか、千鳥が水辺で鳴いています。親しい人を恋したって鳴くと言われる千鳥の声を聞いていると、旅愁が深まって、あなたは旅の我が身をわびしく思います。そうして、昔あった須磨の関所のその番人もこの声を聞いて目覚めた夜が幾度もあったことだろうと思えば、ますます一人の寂しさをしみじみと感じるのでした。

 源兼昌《みなもとのかねまさ》

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