イメージの百人一首82「思ひわび―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第82首】
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
《おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり》

 あなたは辛い片想いをしています。いくら気持ちを寄せても一向に振り向いてくれない人のことをそれでも思い続けて、とうとう疲れ果ててしまいました。もうこれ以上思う気力も湧いてきません。こんなに辛い思いをするならいっそのこと死んでしまいたいと思っても、命が尽きることはない様子です。そのように、恋の苦しみに体は耐えているのですが、心の方はそうもいかず、苦しい気持ちが涙となってあとからあとから溢れてしまうのです。

 道因法師《どういんほうし》

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