イメージの百人一首47「八重葎―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第47首】
八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
《やえむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり》

 あなたは、今、つる草の生い茂る寂しげな屋敷にいます。以前は壮麗で、人が集まっていたその屋敷は、持ち主が亡くなったあとは、すっかりと荒れ果てているようです。活気があった昔のことを思い出して、ふと周囲に注意を向けると、暑気がなくなった冷涼な雰囲気を感じます。夏が去って、秋が来ているのです。人の訪れの無いこの屋敷にも、秋はちゃんと来てくれたのだと、あなたは、そのとき初めて気がつきます。

 恵慶法師《えぎょうほうし》

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