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イメージの百人一首13「筑波嶺の―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第13首】
筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
《つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる》

 あなたの目の前に淵があります。淵というのは、川の深くなっている部分のことです。あなたの目の前に今ある川は、男女《みなの》川といい、筑波山の山頂に端を発する川です。初めは細い流れであったそれがしだいに水量を増してこのように淵を作るようになるのです。

 あなたはそれを思いながら、あなたの恋しい人のことを思います。あの人へ寄せるあなたの気持ちも、この川にできた淵のように、初めは何気ないものであったものが、時が経つにつれ大きく深くなったのでした。

 陽成院《ようぜいいん》

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