女の子とウサとの哲学的会話「宇宙の始まりのその前はどうなっていたの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ。宇宙は、138億年前にビッグバンによって始まったって習ったけど、じゃあ、ビッグバンのその前はどうなっていたの?」
ウサ「うん、どうしてもそう聞きたくなるよね。ビッグバンの前にも何かがあったっていう人もいるけど、これだって同じことで、じゃあ、さらにその前はどうなっていたのって聞きたくなるよね。サヤカちゃんは、どう思う?」
サヤカ「うーん……何にも無い状態の所に、時間だけが流れていたのかなあ……」
ウサ「でも、その時間っていうのも、そのビッグバンによって、始まったわけでしょう? その前に時間っていうものは無かったんだよね?」
サヤカ「えっ……あっ、そうか……でも、ウサ、時間が始まるってどういうことだろう? だって、時間が始まるその時にもさらに過去があるわけだから、時間が始まるって何かおかしくない?」
ウサ「うん、わたしたちにはね、時間が始まるっていうことの意味はね、分からないの。どうしてかって言うと、始まるっていう言い方自体が、時間の中のことで、時間自体が始まるっていうのは時間の外のできごとだからね。時間っていう考え方で、時間の外のことを考えることはできないのよ」
サヤカ「でもさ、そしたら、このビッグバンっていう考え方自体が間違っていることになるのかな。それとも、わたしたちに理解ができないことが起こったって考えた方がいいのかなあ」

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