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女の子とウサとの哲学的会話「どんなことにも原因はあるの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「今日ニュースで、高校生が親をナイフで刺したっていう事件を見て、その原因について色々言われていたんだけど、何かが起こると必ず原因が考えられるよね? でも、絶対に原因ってあるのかなあ。この事件の場合だったら、そういう原因なんて何も無くて、『ただ何となく刺した』っていうことは無いのかなあ?」
ウサ「もしも、『ただ何となく刺した』っていうことになったとしても、今度は、どうして親をただ何となく刺すなんていうことが起こるのかっていうことで、その原因がまた考えられるのよ」
サヤカ「どんなことにも原因ってあるの?」
ウサ「あることに原因があると考えられているのはね、そう考えないと、そのことが理解できないからなの」
サヤカ「どういうこと?」
ウサ「わたしたちはね、あることを理解するとき、必ず、その原因と結果について考えるの。原因と結果の関係のことを、『因果関係』って言うんだけど、その因果関係を考えることがね、あることを理解するためには絶対に必要なのよ。あることの因果関係を考えること自体があることを理解するそのことなの」
サヤカ「じゃあ、原因が無いことっていうのは、無いの?」
ウサ「原因が無いことはね、考えることができないの。前に、宇宙の始まりのその前はどうなっていたか考えたときにね、時間が始まるっていうことは、わたしたちには理解できないってことを話したでしょ? それと同じことよ。原因が無いことは、わたしたちには理解できないの」

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