イメージの百人一首52「明けぬれば―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第52首】
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
《あけぬれば くるるものとは しりながら なおうらめしき あさぼらけかな》

 季節は冬。あなたは夜明け方、一夜を過ごした恋人の家から帰ってきたところです。外では雪が降っています。あなたは恋人のことを思いながら、ため息をつきます。

 夜が明ければ、いずれ日は暮れるもの。またあの人に会える時間になる。頭では分かっているのですが、再び夜になるまでの時間を思うと、それはほとんど永遠のように感じられて、二人を引き裂く朝を、どうしてもうらめしく感じてしまうのです。

 藤原道信朝臣《ふじわらのみちのぶあそん》

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