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女の子とウサとの哲学的会話「心って、どこにあるの? 2」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「うーん……心が無かったら、何も感じられないし、考えられないのはそうだと思うけど、でも、心しか無いなんて思えないよ。だって、心って、わたしたちの体の中にあるでしょ?」
ウサ「本当にそうかな。たとえばね、サヤカちゃんの体をすみずみまで解剖してみたとして、そこから『心』っていうものを取り出せると思う?」
サヤカ「そ、それは…………思えないけど」
ウサ「心が脳にあるって言う人もいるけれど、これも同じことだよね。脳をいくら解剖してみても、そこから心っていうものは取り出すことはできないでしょ?」
サヤカ「でも、脳が心を作り出しているって話、聞いたことあるよ」
ウサ「脳っていうのは物だよね。心っていうのは、物じゃないでしょ?」
サヤカ「え、う、うん」
ウサ「物が物じゃないものを作り出すっていうのはどういうことなんだろう?」
サヤカ「…………」
ウサ「仮に脳が心を作り出しているとするね。でも、脳がしていることをじーっと観察しても、そこに見られるのは、何かしらの物質が出ているところだったり、波長が変わることだったりっていうだけで、それが心を作り出しているところを見られるわけじゃないよね?」
サヤカ「う、うん……」
ウサ「どうして?」
サヤカ「えっ……だって、心は目には見えないから」
ウサ「そう。それが、脳が物で、心が物じゃないっていうそのことなの。つまりね、もしも脳が心を作り出していたとしても、脳がどのようにそれをしているのかということは絶対に分からないのよ」
サヤカ「うーん……」

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