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イメージの百人一首8「わが庵は―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第8首】
わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり
《わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはいうなり》

 あなたは山の中で暮らしています。人里の喧騒を離れて、鹿の鳴き声など自然の音色を楽しみながら、のんびりとした気持ちで日々を送っています。それなのに、世間の人々は、あなたのことを、世をはかなんでいるから、そのような暮らしをしているのだと噂をしているようです。あなたが住んでいる宇治《うじ》山に引っかけて、「あの人は何か世の中のことを憂《う》し(=つらい)と思って山中に一人で暮らしているんだ」などと言っているようです。

 喜撰法師《きせんほうし》

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