イメージの百人一首79「秋風に―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第79首】
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
《あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ》

 あなたは漆黒の空を見ています。時は夜、季節は秋。涼やかな風が吹くと、夜空に横に長く引かれている雲に、切れ目が入ります。その切れ間から姿を現わした月が、一瞬、まばゆいばかりの光を投げかけてきます。その光の美しさに照らされたあなたは、次の瞬間、月が雲に隠されたことで、またもとの闇の中へと戻るのです。

 左京大夫顕輔《さきょうのだいぶあきすけ》

→第1首へ

→第78首へ

→第80首へ

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。