イメージの百人一首53「嘆きつつ―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第53首】
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る
《なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかわしる》

 あなたは恋人が来るのを待っています。この頃、恋人の訪れが絶えがちであり、あなたは寂しい思いをしています。今夜も来ないかもしれない、と恐れていると、あなたは、恋人があなたではない他の誰かのもとへと通っていることを知らされます。

 あなたは今夜も独り寝の悔しさ、悲しさを抱きながら横になります。こうして一人寝る夜が明けるまでの間が、どれほど長く感じられることか、あの人が知ることはないだろうと思いながら。

 右大将道綱母《うだいしょうみちつなのはは》

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