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イメージの百人一首37「白露に―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第37首】
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
《しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける》

 あなたの目の前に、野原が広がっています。野には、薄《すすき》や萩《はぎ》など、落ち着いた風情の植物が多く見えます。季節は秋。おりしも風が吹いて、草葉や枝に結ばれた露が、白く輝きながら、散っていく様子が見えます。

 風はしきりに吹いて、野原一面を、光らせます。あなたは感嘆します。露はまるで真珠のように見えます。そう、ひもを通して結びとめることをしなかった真珠が、ぱらぱらと一斉に散らばったように思えるような景色でした。

 文屋朝康《ふんやのあさやす》

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