イメージの百人一首39「浅茅生の―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第39首】
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
《あさじうの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこいしき》

 あなたは、丈の短い茅《ちがや》や、細い竹の生えている野原に来ています。あなたは、今、人目を忍ぶ恋をしており、その人との仲を誰にも知られないようにしなければいけません。そうして、耐え続けて、何とか恋心を秘め隠そうとしてきましたが、どうしても思いが外に現れそうです。

 茅や竹の葉が、ちょっとした風にもさわさわと音を立てて、その存在を主張してしまうように、あなたの恋心もちょっとしたことであらわになってしまいそうな気がします。どうして、あの人のことがこれほど恋しいのだろうと思っても、答えは出ないのです。

 参議等《さんぎひとし》

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