イメージの百人一首51「かくとだに―」
※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。
【第51首】
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
《かくとだに えやわいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもいを》
あなたには今思いを寄せる相手がいます。その相手に心の内を打ち明けようとしているのですが、どうしてもそうすることができません。思いが届かなくてもいい、せめてどれほど相手のことを思っているか伝えることができたらと、あなたは思います。
伊吹山にもぐさの材料になるさしも草という草があります。その草に火が着いたときのような燃えるようなあなたのその思いを、あの人は知ることもないのです。
藤原実方朝臣《ふじわらのさねかたあそん》
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