見出し画像

加茂地区にある小湊鉄道の存在感

1 はじめに

 加茂地区は千葉県市原市の南部に存在している地域である。そして、首都圏にありながら古き良き日本を感じられるような場所であるのが、加茂地区だ。しかしながら筆者は神奈川県出身であり、全くと言っていいほど加茂地区とは関わりを持っていなかった。しかし、「プロジェクトから学ぶ現代社会」という授業から約半年間交流してきた地域である。市原市の北部はグローバル企業が立地する国内最大級の石油化学コンビナートなどがあり活性化しているが、南部に関しては、広大な自然が広がっているものの、年々人口が減少しており、中でも加茂地区は少子高齢化が進行している。そんな中、小湊鉄道は市原市にとって南部の加茂地区へと観光客を運ぶローカル線である。2017年に創立100年を迎えており歴史ある鉄道である。筆者は、小湊鉄道を通して、加茂地区の魅力に焦点を当てていきたい。 以下の図では、市原市内を走る小湊鉄道の経路図である。小湊鉄道の公式サイトによると小湊鉄道は五井駅〜上総中野駅間の全18駅を通って運行している。 

小湊鉄道 路線図

2 小湊鉄道の魅力① 〜小湊鉄道周辺のイベント〜

 市原市の小湊鉄道の17駅を対象とした「いちはらアート☓ミックス」という地域のイベントがある。市原市は過去2014年と2017年に2回開催されており期間は、37日間長期間にわたって開催されている。最近では、2020年に三度目の開催予定であったが新型コロナウイルスの影響により延期となっている。「いちはらアート☓ミックス」の来場者数に関しては、2014年が約87.000人、2017年が約10万人と非常に多くの人々が市原市の南部に集まっている。
 この「いちはらアート☓ミックス」は、南部の過疎対策と地域の活性化、そして、地方都市が抱える問題をアートの力で解決する芸術祭として、市原市のまちづくりの一つとされている。『地域の町会や里山団体等の参画、教育関係分野等との連携による地域振興・市⺠力向上 。農商工観の各種関係団体や他自治体との連携強化による産業振興・活性化』が狙いとされている。(引用:いちはらアートxミックス 2017  事業報告書から)

行事の内容としては、加茂地区にある里山や既に廃校になった学校、小湊鉄道の駅舎を利用して、世界各国のアーティストが描いたアート作品を巡るものである。小湊鉄道の各駅にアート作品があり、小湊鉄道の最初の駅である五井駅から始まっているので、小湊鉄道自体が移動手段としての役割を果たしている。この行事を通して小湊鉄道に初めて乗車する人々も多く、加茂地区と小湊鉄道の両方をこの行事を通して体験することができるプログラムと言えるのではないだろうか。食事に関しては、小湊鉄道の駅で販売している駅弁や学校において地域でしか味わえない食材を使った食事を堪能することができる。この行事は、まさに加茂地区のお祭りであると言えるのではないだろうか。

以下の写真は、2020年に延期され、今年2021年に開催される予定であるいちはらアートxミックスの見出しと、アート作品である。

スクリーンショット 2021-08-07 11.06.17



3 小湊鉄道の停車駅から

 小湊鉄道には、「里山トロッコ」という客車4両編成で成り立っている。里山トロッコは、大正12年製のC型コッペル蒸気機関車を現代版でリアルに再現した車両であり、現在は土日中心に観光列車として運行している。
下の写真にも菜の花が記載されているが、小湊鉄道には例年3月、4月ごろに見頃となっている。

里山トロッコ

小湊鉄道の公式ホームページでは、小湊鉄道を通じて何箇所か観光名所をあげているので、いくつか紹介したい。
1つ目が、いちはら象の国である。象の国内最多飼育数を誇っている象の国には小湊鉄道の高滝駅から無料送迎バスで約10分の場所にある。毎日午前午後で一回ずつ行われるぞうさんショーが人気となっている。

2つ目がチバニアン(地磁気逆転期地層)である。大まかには、『学術的に世界に3箇所しかないうちの1箇所といわれるパワースポット』(引用:小湊鐵道 お出かけ情報から)であり、時代を分ける境界がよくわかる地層として、去年新たな地層が発見された。それが市原市の加茂地区であり、小湊鉄道の月崎駅である。地球の歴史を感じられるスポットである。

また、上記の他にも道飯給駅には世界一大きなトイレと呼ばれている場所がある。それは駅前の公衆トイレのことで、杉壁に囲まれた中央に、ガラス張りのトイレがある。さらに養老渓谷駅からさらにバスで15分の場所に「養老渓谷」がある。房総随一の温泉郷である養老渓谷では、渓流釣りやハイキング、バーベキューなどを楽しむことが出来る。

養老渓谷


4 まとめ

「いちはらアート☓ミックス」に関しては、加茂地区に住む地域の人々と、関わりのない一般の人々と直接的に交流でき、加茂地区がどのような地域であるのかを実際に訪れ肌で感じられる機会が設けられている。小湊鉄道を移動手段としている点においても、小湊鉄道に乗車し加茂地区を堪能できるので両者の相乗効果が見込まれると考える。また、小湊鉄道の各駅からは加茂地区を堪能できる場所が豊富にあり小湊鉄道を通して、加茂地区を1日旅できるだろう。小湊鉄道には一日乗車券も大人1.840円で販売しており、気軽に首都圏でありがなら田舎を旅することができる。

首都圏のような人混みのある電車ではなく、ゆったりと自然を味わえる小湊鉄道は、日々の日常をリラックスできるような都会にいながらも田舎というものを味わえる唯一無二の場所ではないだろうか。今回、小湊鉄道に注目したが筆者は一度も乗車したことがないので、新型コロナウイルスが落ち着いたら一度訪れてみたい。



*参考文献*
いちはらアート☓ミックス 2017 、事業報告書 (最終閲覧日 2021年8月7日)
https://prdurbanosichapp1.blob.core.windows.net/common-article/6023789cece4651c88c1887b/2017_houkokusyo_bunsyo.pdf

千葉県 教育・文化・スポーツ、(最終閲覧日 2021年8月7日)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/chibanian/index.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?