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加茂地区と美波町の「今」と「これから」


はじめに

 私は今学期のゼミの授業で、オンライン上でありながら、徳島県の美波町と交流した。そして、月曜日に履修している「プロジェクトで学ぶ現代社会」の授業では千葉県の市原市を取り上げた。この2つの違う地方を取り上げ、それぞれ過疎化が進行している中、どう地方創生を行っているのかを学生ならではの視点でオンラインコンテンツを作るというのが、このプロジェクトの最終目標である。

 概要
 私のグループでは主に市原市の加茂地区と美波町の比較をテーマにしている。この2つの地方を取り上げることで、私たちには見えていない不可視を見ることができると考えている。徳島県の美波町では、近年企業のサテライトオフィスが増加している傾向であり、さらにはデジタル化も進んでいるという、地方にしては都市化が進んでいる町である。徳島県というと、首都圏からも遠く離れている地域あるが、地方創生として行っている市では美波町が注目されている場所である。一方の市原市の加茂地区も過疎化が進んでいる。市原市は、千葉県に存在しているため、アクセスのしやすい首都圏に移り住んでしまうという現状が存在しているため市原市の過疎化が進行していると考える。市原市に関しては、北部と南部で大きく異なっている。北部では産業の発達によって活性化されている一方で、南部に目を向けてみると、過疎が進行しているという大きな違いがある。また、市原市全体に通っている小湊鉄道は南部にも運転しているため、小湊鉄道が通る周辺は観光地として賑わっているが、それ以外の加茂地区は過疎化となっている。
 私個人としては、この両市を取り上げることで、今の日本社会の過疎地に起こっている人口流動を把握することや、過疎化に対して行われている地方創生に目を向けて、新たな考え方を養い、首都圏にいながら地方との交流をしたいと考えている。

小湊鉄道

 私が担当したことが「市原市の鴨地区と美波町の人口・年齢層・男女比を比較すること」である。この比較によって、現在の2つの地域における人口流動を把握し、どう変化してきたのかという点や、これから人口流動に伴って、どう過疎化を抑えることができるのか、生産年齢層である若者がどのくらいその地方にいるのかとった現日本社会の少子高齢化をも身近に捉えられると考えてる。
この時にデータとして使用するのが5年に一度、政府が採っている国勢調査である。この国勢調査を元に2つの地方における人口流動がどのくらい変化しているのかを見ていきたい。
※市原市の加茂地区に関しては、国勢調査自体が市町村で表示されるため、加茂地区で統計をするので、市原市のホームページから統計をとり参考にしている。

加茂地区と美波町の人口比較 

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 最初に人口を見てみる。平成22年(2010)の加茂地区の人口は6,247人。5年後の平成27年(2015)の加茂地区の人口は5,498である。結果として 749人減少していることがわかる。
一方の美波町を見てみると、平成22年(2010)の人口は7,765人。5年後の平成27年(2015)では7,092人である。結果として673人減少している。

男女比の相違
 次に男女比について。加茂地区の平成22(2010)年の男性の割合は52%であり、女性の割合は57,4%となっている。5年後の平成27(2015)年の男性の割合は55,1%であり、女性の割合は59,8%となっている。
美波町の平成22年(2010)の男性の割合は46,7%であり、女性の割合は53,2%である。5年後の平成27(2015)年の男性の割合は46,6%であり、女性の割合は53,4%となっている。数字を見る限り、加茂地区は比較的女性の方が多く在住していることがわかる。

生産年齢層の圧倒的な減少 
 加茂地区の年齢層で大きな変化を挙げると、15歳〜64歳のいわゆる生産年齢層が3,433人から2,738人と695人減少している。また、15歳未満が413人から304人と109人減少している。少子化が進行していると考える。加茂地区は千葉県の市原市に位置しているので首都圏に存在しているが、それでも15歳未満の若い世代が減少傾向にある。東京都や神奈川県の横浜市では人口は年々増加傾向にあり、東京都の一極集中と言われているぐらい東京都を中心に人口が増加しているのも関わらず、市原市の15歳未満の世代の人口が減少していることは意外性を感じた。生産年齢層に属している特に若い20歳代は、就学や就職で東京都などに上京する傾向が考えられるため、若者世代の人口が減少傾向にあると言えるだろう。
 一方の美波町の年齢層で見てみると、こちらも加茂地区同様に生産年齢層が3,865人から3,305人と560人減少している。また、15歳未満が706人から579人と127人減少している。若者が他の地域に転出し、高齢者が残るといった背景がわかるだろう。2つの地方で64歳以上の高齢者が南町では15人、加茂地区では55人増加している。
 こうして2つの地方を見ると、ほとんど同じように若い世代の人口が減少し、高齢者世代は数字をキープしていることがわかる。多くの地方がこのような若者が都会へと移動し、高齢者が増加するといった傾向がある。そして加茂地区の方が、美波町よりも過疎化が進行している。加茂地区は千葉県であるので、東京都などの首都圏からアクセスしやすい。その結果、首都圏に若者が集中し、今まで地方で生活していた人々が年齢を重ねてその地域に定住しているというような傾向があるのだろう。だからこそ、首都圏には多くの人口を抱えて日本の経済を回しているという背景に至っているとも考えられる。

以上のデータから言えること

 以上のデータからこれからも少子高齢化を象徴するような人口流動がこの2つの地域に見られることであり、どう若者をその地に留めることができるかが焦点になるだろう。上記で挙げたように加茂地区と美波町の年齢層や人口等を見る限り、「働ける世代」である生産年齢層が年々減少している。この世代が地方に目を向けてもらえるようにするためには、美波町のサテライトオフィスを加茂地区にも開発して、その企業で働く若い世代を移住させることや、子供を育てることに適している設備を整えること。そして、首都圏とまではいかないが、比較的地方においてもアクセスしやすいインフラを整えることが、その2つの地方に共通して言えることではないだろうか。高齢者が住みやすいからこそ、年々高齢者の人口は増加してきているため、これからは若者よりに政策をシフトさせることが必要かもしれない。

これからの地方創生の形とは

 ここで挙げたいのは、昨年から新型コロナウイルスによってリモートワークをする人々が増えている。その影響で東京都から離れて地方に移住するという人々もある程度いる一方で、首都圏の利便性の高いインフラ設備が整っていない地方に移り住むと環境が180度変わってしまうこともある。そのために、地方に目を向けている人々が多い中で、地方もインフラ設備を整えたり、首都圏から転入してきた人々をどう地方の地域のコミュニティに溶け込むかという問題点もある。また、近年は自然災害の影響を大きく受けている印象がある。東日本大震災、熊本地震、そして台風などによる河川の氾濫による住宅被害に遭うことなど、様々な災害を経験している。その時に東京都周辺を大震災や自然災害が起こった場合、今まで以上の甚大な被害が出てしまうだろう。特に何でも揃っている印象がある東京都が、大被害に襲われたら日本の経済は回らなくなってしまうかもしれない。
 そういう意味においても地方創生を行うことで、東京都のように一極集中の形ではなく、満遍なく地方にも人が移ることができる。地方創生はただ単に地方にも人を流動させ、地方活性化を目指すという意味でもあるが、日本国内全体で日本社会を支えるような社会を実現できることこそ、地方創生の必要性が試されていると考える。インフラや、制度が整っている地域に人が集まるように、人が集まることで地方が盛り上がる。このサイクルを過疎化が進行している地域に共通して必要とされる地方創生の本来の姿であると考える。また、地方創生を知ることで、その地域にしかない魅力を発見できることや、首都圏にはない自然とともに生活できる環境が整っている。最後に、私自身、新型コロナウイルスが収まったら、ぜひ市原市と美波町に実際に訪れてどんな発見があるかを自分の目で確かめたい。


参考資料


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