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合意形成のための意思決定のフレームワーク〜Pros Consとオプション評価〜

ビジネスパーソンであれば、部下から意思決定を求められたり、上司に意思決定を求めたりする場面に日々でくわします。
クイックに提案を通したかったが、会話するうちにほころびが見えてきて、「結論は次回に持ち越し」なんてこともよくある話です。

また、職位やグレードが上がるほど、YES/Noで答えにくい難しい意思決定を任されるようになります。自分の意思決定に自信が持てず悩んでいる人も少なくないと思います。

「悩んだらワイルドな方を選べ」「ハイリスクハイリターンを選ぶ」「一度保留して翌朝判断する」などさまざまな判断軸を聞きますが、みなさんはどんなことを意識して意思決定しているでしょうか?

今回は上司や部下、メンバーなど、周囲の人たちと合意形成を得られやすい評価方法を2つ紹介します。(1)Pros Consと、(2)オプション評価です。

(1)Pros Cons評価

Pros Cons(プロス・コンス)とは、直訳すると「賛成と反対」の意味で、「プロコン」と略して使われることもあります。

「メリット・デメリット(メリデメ)」と何が違うの?と思われる方もいるかもしれませんが、メリデメは「利点と欠点」の意味であり、Pros Consよりも狭義です。Pros Consの方が使い勝手が良いといえるでしょう。

具体的な例で見ていきましょう。
たとえば、ウェブコンテンツのプロデューサーだとします。そこでメンバーから、集客プロモーション施策としてTwitterアカウントの開設を提案されました。聞けば、ベンチマークのメディア企業もTwitterでPR発信に取り組み、フォロワー数を伸ばしているとのこと。メンバーは「絶対やった方がいいです!」と熱心です。

しかし、メンバーは提案を通そうと理論武装し、本人も自覚せずバイアスがかかっている状態にあります。そこで、あえて反対側の視点に立って評価することも有効です。たとえば、メンバーには「なるほど、Twitterマーケティングによって集客アップが見込めるんだね。それが良いアイデアだ。では、あえて反対意見を出すとしたらどういうことが考えられるだろうか?」と返してみましょう。
すると、次のような反対意見が出てきました。Pros Consに整理します。

Pros(賛成)
・Twitterのプロモーション効果で集客数の増加が期待できる。

Cons(反対)
・Twitterの運営コストがかかる。

Twitterマーケティングは集客アップが期待できる一方で、同プロジェクトのメンバーは3名とリソースが限られています。ベンチマークのメディア企業はほぼ毎日の頻度で投稿していますが、そのペースで運営できる余裕はなさそうです。

このように賛成意見と反対意見を天秤にかけることで、公平な意思決定ができるようになります。
また両側から見ることで、たとえば「Twitterマーケティングを実行する。ただし、3ヶ月以内にフォロワー数が500人を達成しなかったら撤退する」といった条件付き判断も考えられるようになります。

うまい提案にすぐにのっからず、立ち止まってCons(反対)の意見も出してみる。それにより意思決定で失敗するリスクを減らすことができます。

さて、Pros Consを出して結論を出そうとしたところ、ほかのメンバーから「Twitterもいいけど、ネット広告を打った方が人手もいらないし効果もあるのではないか」という提案が出てきました。こうした場合はどう意思決定するのが良いでしょうか。

選択肢が複数上がったときに使える意思決定の方法が、オプション評価です。

(2)オプション評価

オプション(option)とは「選択肢」のことです。一つの課題に対して解決策は一つとは限りません。決め打ちせずに、複数の解決策を天秤にかけて取捨選択することが重要です。

オプションの MECEな出し方については、こちらの記事も参考にしてみてください。


それでは、複数のオプションが出たときにどのように取捨選択すると良いでしょうか。
議論の場では、「A案が良い!だってB案の方が効果があるはず」「いや、A案はコストがかかりすぎるよ」などと発散し、なかなか決められないことも往々にしてあります。そんなときに有効なのがオプション評価です。

複数のオプションを公平に評価するため、まず共通の評価軸を決めます。代表的な評価軸は「効果」「コスト」「スピード」です。ほかにも「実現可能性」や、「ROI」「わかりやすさ」などさまざまあり、適正な評価軸を設定します。
評価表をつくることで、オプションが比較しやすくなります。

さらに、△〜○ではなく、定量的に得点をつける方法もあります。チームメンバーの納得感を持って意思決定したい場合は、各自投票し合って、その合計点で判断するのも良いでしょう。

5点満点で評価する例

もちろん評価軸は3つ以上になっても構いません。
また、評価軸に重み付けする方法もあります。たとえば、今回は効果の高さを重視したいという場合は、「効果が高い」については得点の2倍で計算する、といった方法もあります。

「効果が高い」は得点×2とした例


以上、Pros Consとオプション評価について見てきました。
判断が悩ましい問題になると、「これは決めの問題でしょ」などと言われる場合もありますが、本当にこの判断で良いのか?と、一度立ち止まってPros Consやオプション評価に整理することで、ぶれない判断軸も養われていきます。


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