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櫻坂46「流れ弾」に僕が感じた違和感の正体

以前『「10月のプールに飛び込んだ」は欅坂46屈指の大人の楽曲である』という内容を書いて以来のnoteになります。

私が櫻坂46の前身である欅坂46の楽曲群をどういう視点で受け止め、どう感じてきたかという内容は前回のnoteで記載をしたので詳細は割愛します。

ただ、これから話す櫻坂46への楽曲への感想も「社会人からするとどう見えるか」という視点なので、学生のファンの方からすると多少違う視点になるかもしれませんのでその点は悪しからず。

私が櫻坂46に期待していること

私が考える「櫻坂46らしさ(もしくは「欅坂と櫻坂の違い」)」とは端的に言えば、
・現実的な視点で社会や世界と向き合う
・個人の人生における選択や決意にフォーカスする

ということかなと思います。

前回のnoteでも触れたように、社会人の私からすると欅坂46の楽曲が提供したテーマの多くは「大人になるまでの過程で、一度は考えるべき事柄」に見えます。

「君は君らしく生きていく自由がある」と歌った"サイレントマジョリティー"でさえ、楽曲の鮮烈さはあるもののテーマは普遍的なものであり、思春期に触れる別の文学や音楽・エンターテインメント作品からも近いメッセージを受け取ることが出来ると思います。

欅坂46から改名した「櫻坂46」には私は当然「その先」を期待しています。

その先とは、"サイレントマジョリティー"で言えば
「君は君らしく生きていく自由があるんだ」
→「じゃあ実際にどう生きるのか」ということです。

そういう意味では"Nobady'fault" や "BAN" といったこれまでの櫻坂46の表題曲は、挫折や失敗を乗り越えて進む個人を鼓舞する楽曲に思え、私個人の中ではかなり納得感がありました。

("偶然の答え" や"最終の地下鉄に乗って"も個人が人生の岐路/選択(と思える)や、生き方を模索する一場面を切り取った曲として受け止めました。)

流れ弾に感じた違和感

いよいよ本題ですが、3rdシングルの「流れ弾」のMVが今週公開されました。

パフォーマンスやMVの凄みという点では勿論インパクトを受けましたが、「これが櫻坂なのか」という違和感を覚えたというのが正直なところです。

加えて、ファンの人から「欅坂の時のようなゾクゾク感」や「欅坂時代を彷彿とさせる要素を踏まえた、櫻坂としての昇華」という声が散見されたことで、その違和感が自身の中で強まった気がします。

それは、私が感じた違和感の正体が、流れ弾のテーマが今風であるものの「欅坂っぽさが抜けていない」と言う点にあったからです。

確かに、SNS上での炎上や誹謗中傷、それに伴う悲惨な結末というのは本当に大きな社会問題であり、その解消には一人ひとりの意識変革が必要になるのは間違いないでしょう。

ただ、そうした個人が集団の中で感じる息苦しさや、その時代が生み出す閉塞感/社会的問題というものは欅坂時代にも表現してきた内容であり、「櫻坂」としてそうしたテーマに踏み込むとするなら「個人がどう選択することがその解消に繋がるのか」という点にフォーカスをした曲であって欲しかったというのが私のわがままな感想になります。

この点をMVの中での表現でお伝えするならば、「黒(誰もが疑心暗鬼の状態)から赤( みんなが自由に言葉を発することが出来る状態)」への革命を「どうすれば起こすことが出来るのか」という部分を見せて欲しかったのです。

「たった一つだけのルールを決めて
 他人のことは言わない」

やはりこの歌詞だけで全てが劇的に変わるということは非現実的過ぎますし、それは欅坂時代の「テーマは壮大だが、あくまでも内向きであり、現実の世界/社会と向き合う具体性に欠ける」という姿勢に近いものに感じます。

つまり、私は1st、2ndから3rdで「スケールは大きくなったが、曲の中で示される姿勢は欅坂時代に半歩戻った」ように感じた訳です。


さて、ここまで少し後ろ向きな感想を書いてきてしまいましたが、勿論1つの楽曲・パフォーマンスの凄み・クオリティという意味では1st・2ndに遜色ないものでありとても素晴らしいものでした。

「流れ弾」で提示された問題への「櫻坂らしいアンサー」が別楽曲の中で示される可能性も十分あり得ますし、とにかく3rdシングルの発売をいちファンとしてとても楽しみにしています。

こうした曲の解釈をあれこれ考えることが出来るのも、櫻坂というグループの魅力なのではと思います。

因みに私は特に武元のパフォーマンスが好きですね。
バックスライブでの「ちゅけBAN」まさに圧巻でした。

また違うnoteでお会いしましょう。

アディオス!

(前のnoteはこちら『「10月のプールに飛び込んだ」は欅坂46屈指の大人の楽曲である』)




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