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最後まで子供の冒険譚であることを貫徹した良作ゲーム【ポケモンSVDLC感想】

※DLコンテンツのネタバレが含まれています。

本編からぶれない【青春と友情と成長】の物語

前回のDLコンテンツから、こんなに話が綺麗に纏まるとは思ってもいませんでした。いい意味で裏切られた。

拳で分かり合えない時もある

ポケモンと言ったら、ライバルとバトルの強さを競いお互いを認め合うみたいな格闘技コミュニケーションのイメージ(ド偏見)を持っていたんですが、前回のDLコンテンツでは、その世界観を執拗にぶち壊して終わりました。

そして、新しいDLコンテンツでは、その前回のライバルキャラであったスグリが、主人公との勝負に負けたことを糧として、コンプレックスだらけの痛々しい姿でブルーベリー学園のチャンピオンとして君臨しているところを見せつけられます。

しかし本当に負けるかと思う程強かった。自分がやったポケモンのなかでは歴代最強チャンピオンかもしれない(アルセウス混ぜて6作しかやってない奴です)。

スグリの本音と【思春期】という成長のための通過儀礼

その後、エリアゼロで一緒に伝説のポケモン「テラパゴス」を探索することになったスグリから、ありったけの本音をぶちまけられます。

主人公への劣等感をここまで吐露したキャラクターって珍しい。というか、年齢を考えると今までのキャラがポジティブか大人しすぎた気がしてきます。
スグリが等身大の「少年」を意識して作られたのだとしたら、かなり成功した部類のキャラクターだと思いました。ゼイユの言う通りスグリは思春期に差し掛かる年頃です。
思春期といえば、周りに反抗してみたり他人と自分を比べて落ち込んだり苛立ちで自分が分からなくなったり、そんな自立への第一歩を歩む年代ですよね。そう考えると、前回のDLコンテンツの性格の不安定さも納得できました。

あと、関係ないけどブライア先生が好き

なんだこのマッドサイエンティストっぽい演出は(笑)

スグリは自分を責めていたが、大体がこのマッドサイエンティスト気のあるブライア先生に非があります。でも、こういう迷惑なのに悪意のないマッドな感じ、こう、なんか刺さりました。秘宝ことテラパゴスに興奮している姿が猛烈にグッとくる。ヤバめのロボアニメにでてそうなお気に入りキャラになりました。

本音でぶつかって友人になっていく

SVで好きな傾向の一つに「友達や仲間をつくる」という部分があります。ライバルを増やすだけではなく、コミュニケーションや相手に寄り添うことによって信頼関係を築き「友達や仲間になっていく」(先生とも仲良くなれますよね)。
これは、色んなタイプのゲームで経験しているパターンではあったんですが、ポケモンでは不思議と新鮮に感じました(初期系と最近のしかやってない癖に)。

※しかしシールドの時点で、主人公とライバルや対になるチャンプ達の関係も、初期系より友人に近いものに見えたのでスグリが友人になったのは当たり前の帰結だったのかもしれません。ホップは親友って言った方がしっくり来ますし。あれ?でもルビーとかの時点でも結構仲良かったような気が…(遠い記憶過ぎて忘れている)。

暴走したテラパゴスをふたりで止める決意をしたスグリと主人公。

ここで「つかまえない」を選ぶとスグリから返ってくるコメント。
友達との共闘によってスグリが見失っていた、自身の心のありようが戻って来たようです。お前、本当は優しい奴だもんなスグリ。

ホントだよ!!でもその「人<自分の好奇心」なところも可愛いと思うけど

ふたり同時にギャン泣きされてビビった。ゼイユはスグリの変貌に悩んでいたので、不安が解消した安心により泣いてしまったのかな。考えてみればゼイユだってまだ10代の子供だしな。

無事にテラパゴスにも会えてブルーベリー学園へ帰って来た探索隊一行。
スグリは、主人公に謝罪したのち「もう一度、友達になって欲しい」と告白して来ます。

そして、またダチに戻ったふたり。
最後は仲良く並ぶゼイユ・スグリ・主人公でDLコンテンツは終了しました。

DLCの宝探しでみつけた【新しい友達】という宝物

『龍が如く』や『ドラクエ』など、いくつのキャラクターになっても友情が素晴らしく面白い作品は多々あります。しかし、それと同時に喧嘩してそれでも和解して仲良くできるのって子供のキャラクターがもつ特権な気もしています(ペルソナもそんなイメージ)。大人の場合は死んでしまうキャラクターが多いイメージがありまして…(龍シリーズは言わずもがな、グレイグとホメロスの件もやるせない)。

あくまでも子供を中心とした関係性に焦点を絞って作られているポケモンSVは、「期間限定の大量発生や高難易度過ぎるレイド」や「よく分からないバグの多さ」という欠点はあるものの、ポケモンのゲームをする年齢層に丁度よく、かつ懐かしさを覚える高年齢層も合わせて楽しめる良作だったな、と自分には思えるゲームでした。


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