『毎月庭つき大家付き』の19話が私の一番好きな愛の形だった

みなさま〜。どうも、輿水かしこです。

 先日あげた『毎月庭つき大家つき』の感想をたくさん読んでいただき恐縮です。そして丁度記事を上げた頃、『毎月庭つき大家つき』の最新話が公開されました。

 この19話、これがもう私が一番大好きな愛の描かれ方してたんですよね……。なのでいても立ってもいられなくなり、2回連続で『毎月庭つき大家つき』の感想になります。ハマってるから仕方ないよね。

「隙を見せる」ということ

 さて、『毎月庭つき大家つき』19話、開幕はミヤコとアサコが二人で寝ているシーンから始まります。どうやらミヤコさんが勝手に入ってるらしいですが、私は二人で一つのベッドに寝るカップルのことが好きすぎるのでこれからもずっと二人で寝てて欲しい。あとちょくちょくミヤコさんが荒巻スカルチノフみたいな顔になるの本当に好きなんですよね。,' 3 すやぁ……。

 そんな二人の日常は、「カップルになった」ことで今までとは少し違うカタチになっていきます。アサコさんは「ミヤコ」って呼ぶようになってるし、ミヤコさんはその適当な生活をアサコさんにちゃんと怒られるようになっています。

 これって多分、ミヤコが今まで以上にアサコさんに隙を見せてるんだと思うんですよね。今までは部屋という生活圏が一応は分かれていたこともあって、多少は隠せるはずだった適当さが、今はもう全てアサコさんに筒抜けになっている。それに、靴下モコモコがいい〜というワガママも、より親密になった今だから言ってることに見えます。

 人が誰かと関係性を結ぶとき、その親密度がある程度の頃まではちゃんと体面を保とうとするはずです。それがある一定のラインを超えると、少しずつ体面は崩れていきます。それは相手に対して油断するからでもあり、一緒にいる時間が長くなるから体面を保っていられなくなるからでもある。さらには、「この人には隙を見せても大丈夫だ」という信頼の発露でもあると思うんです。だから私は、人と親しくなるうちに隙が出てくる人のことをとても好ましく思うし、きちんと隙を見せてくれることは親愛の表現の一つの形だと思っています。この点、ミヤコさんがアサコさんに対して今まで以上にだらしなくなっている点に、確かな愛を感じてすごく嬉しくなってしまいました。

「対立しない」じゃなくて「対立を超えられる」二人

 そんな二人の生活の中で、アサコさんは観葉植物のパッキーの冬超えを迎え、毎日パッキーに対してオロオロする生活が始まります。「水やりすぎたかも……」「枯れてない?本当にこれで大丈夫??」と心配になるアサコさんの様子は、人に尽くすことが甲斐の彼女らしい姿ですよね。一方サバサバしてるミヤコさんは日々アサコさんに大丈夫でしょ、と声をかけていましたが、ついにちょっと頭にきてきついことを口走ってしまいます。

「このところずっとそれやな いつまでもウジウジウジウジ そろそろしつこいわ」

 このセリフ、初見の時は「キツくない……??」ってびっくりしたんですけど、これも多分前述したミヤコさんの「隙」の一つなんですよね。親しい人だからこそ、普段はオブラートに包むような「棘」が不意に剥き出しで出てしまう。言った後にハッとしてるのが結構リアルですよね。溢れる本音を止める努力を怠ってしまうのはあるあるだし、それでちょっと後味悪くしちゃったというのも皆さん経験があるのではないでしょうか。

 そんなミヤコさんの棘を、アサコさんは笑顔で受け止めます。「そうですね、初めての鉢なんだし まずはしっかり見守るのも大事ですよね」とむしろ嬉しげに返すアサコさんの姿に、ミヤコさんは逆に不信感を覚えます。どうして怒らないのか。いつだって私のことヘラヘラと受け入れて。私に体力使いたくないってこと?そんなミヤコさんの疑念を受けて、初めてアサコさんは怒りを滲ませます。

 私はなんでも受け入れるわけじゃないし、確かに言い方がキツかったけど納得したから受け入れた。ミヤコに体力使いたくないなんて、そんなこと言わないで。これが、アサコさんの答えです。

 アサコさん、人間が出来過ぎでは……??アサコさんが言ってることは確かに正しく、自分が納得すれば受け入れるべきというのもわかりますが、それにしたって一歩間違えればかなり雰囲気が悪くなっていておかしくなかった場面を、自分が納得したからの一言で飲み込めるのは簡単にできることではないはずです。

 そして今回、新しい二人の日常として描かれたこのやりとり、私が非常に好きな描写なんですよね。どんなに好きあう相手だったとしても、近くで生きていくからには多かれ少なかれ、「対立」が起きないわけがないじゃないですか。だからこそ、私が好きな愛の描かれ方って、「対立しない」じゃなくて、「対立が起きた時に乗り越えられるか」なんですよね。

 そんな二人の「対立」を、今回の毎月庭つき大家つきは描いてくれました。これは二人の関係性の描き方としてはとても誠実なんじゃないかと思うんです。

 ミヤコさんは生活の中で不摂生な部分を見せてしまうし、不意にアサコさんへ刺すようなことも言ってしまう。アサコさんはミヤコさんをちゃんと叱るし、怒ってエネルギー使ってるけど、言われたことに納得すればそれはちゃんと受け止める。そしてそんなお互いを受け入れることができる。そんな二人の「日常の乗り越え方」、そして愛し方が描かれていたのが、私にとっては本当に嬉しいことでした。

 毎月庭つき大家つき、前回の記事でも言いましたが今ほんとうに面白い漫画なのでほんと続きが楽しみです。後今回のお話も二人とも可愛くて最高でした。アサコさんの私服好きやわ〜〜〜〜〜。あと扉絵が「カップルの日常」として100万点だと思います。これからも続きが読みたい!!!!!

それでは。


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