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平成のセクター連携史 〜過渡期【NPO編】〜 横連携と面でのロビイング

今回は、こちらの続編である。

2010年前後からコロナ前くらいまでの時期をセクター連携の「過渡期」として位置付け、企業・行政・NPOそれぞれに起きた大きな変化やセクター連携に関する大きな議論を振り返る事を目的とした記事で、今回は「NPO」編の2本目。1本目は「資金調達方法の増加」という軸で書いてきたが、今回は、

横連携と面でのロビイング

という軸で振り返ってみる。

東日本大震災キッカケの連携強化

震災前までは、個々のNPOは私的レベルでの関係性程度はあったかもしれないが、面としてのオフィシャルなネットワークは無かった。仲が悪かったというわけでも無いだろうが、そこまでの余裕が無かったというのが実情かもしれない。

確かに、自身も、とあるNPOの理事を2000年代後半に一時期しており、六本木交差点近くの廃校跡地を利用した「みなとNPOハウス」に事務所があった関係で、時々通っていたが、そこに入居していたNPO同士の関係性や連携ががあった記憶がない。(あるいは単なる私の性格上の問題なのかもしれないが。)

みなとNPOハウスの入居団体案内板

しかし、東日本大震災が発生し、その3日後の3/14には、全国のボランティア民間団体が、情報を共有しながら連携して支援に当たるため、「東日本大震災支援全国ネットワーク」が設立され、連携促進のための基盤が整えられていった。

また、震災翌月の2011年4月には「ハタチ基金」と言う、被災孤児、及び被災地の子どもへの、学び・自立の機会を継続的に提供するために基金が公益財団法人日本財団内に設置された。(尚、日本財団が基金設置団体であった期間は2015年1月13日までで、以降は、新たに設立された「公益社団法人ハタチ基金」にて寄付金の受付・管理を行っている。)

設置当初から、東日本大震災発生時に0歳だった赤ちゃんが震災の苦難を乗り越え、社会を支える自立した20 歳へと成長するよう、教育・子育て分野に実績のある団体(認定NPO法人カタリバ、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン、NPO法人トイボックス、認定NPO法人フローレンス等)が継続的に支援することを目的に活動している。

日本財団の該当ページより

このようにそれまで個々に活動していたソーシャルセクターが結果的に震災をキッカケとして、横連携の必要性と可能性について検討が進んでいくこととなる。

裏歴史としての鈴木寛選挙の敗北

この話題は避けて通れないので、せざるを得ないが、NPOの横連携推進の陰に、2013年夏、自民党への政権交代後の参議院議員選挙東京選挙区にて民主党(当時)から3期目のチャレンジをした鈴木寛氏の落選が大きく影響していると私は考えている。

この選挙では、当時のソーシャルセクターのエース達がこぞって鈴木氏を応援したが、有権者には浸透しきれず、その影響力の現在地と限界を皆が肌で感じ、よりこのセクターがスクラムを汲む必要性を痛感したのだ。

選挙後、当時のソーシャルセクターのリーダー的存在であり同窓同級生でもある駒崎弘樹氏に「早くNPO連盟のようなものを作ったほうが良い」と打診したところ「まだ早い」という回答が帰ってきたのをとてもよく覚えている。(なぜか2人でタクシーに乗って国会だか官邸に向かっていた車内での会話だと記憶しているが、なんでそもそもそんな会話をしたのだろう。)

任意団体「NPOの未来をつくる会」そして「新公益連盟」へ

上記のような流れがあり、結果的に、駒崎氏を中心に、ソーシャルセクターのリーダー達(氏の当時のブログによると、ETIC.・RCF・ジャパンギビング・クロスフィールズ・ファンドレイジング協会・シーズ・フローレンスが名を連ねている。)は協議を重ね、2014年夏に任意団体「NPOの未来をつくる会」が発足。

その後、2016年1月に任意団体「新公益連盟」へ発展し、2017年10月にNPO法人登記がなされた。(ちなみに私が代表の「一般社団法人つなげる30人」も加盟団体となっている。)

新公益連盟が発足したことで、特に期待されたのが、横連携を通じ、これまで1組織としての「点」だった政府・行政や企業へのロビイングが、同じ課題を扱う同業種としての線になり、そしてソーシャルセクターとしての面となる事だった。

実際、年々、加盟団体という形で全国に仲間を増やし(加盟団体一覧によると、2023年7月現在、148団体が加盟)、交流を促しながら、研究や政策提言等を行い、成果をつくってる。

尚、「イチ加盟団体」の代表として、今後の活動に期待したいのは、以下がある。

  • オンラインでも良いので定例的な勉強会・交流会の開催

    • 「つなげる30人」代表としては、様々なエリアのNPOに熱い想いや課題を知り、気軽に知り合う機会があればありがたいと思っている。

  • オンラインプラットフォームを活用したコミュニティ運営

    • 数が増えてきた中で、会員同士が気軽にコミュニケーションできるようにするには難しい側面があるが、何か良い策がないか模索したい。

    • 「つなげる30人」も全国メンバーのオンライン図鑑を作ろうと動いているが、なかなか前に進まないのが課題だ。

  • さらなるセクター交流の旗振り

    • 「つなげる30人」の主活動である「クロスセクター連携」の旗振り役は経験則として、やはり課題当事者に最も近いソーシャルセクターが最適であると感じる。何か協業出来る部分があればとも感じている。

自身もこれを機に主体的に関わっていける側面があれば是非関わっていきたいと感じる。

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