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デヴィッド・バーンのタコ踊り

これはメンダコのぬいぐるみです。
ヘッダーは過去に撮った写真からなるべく記事のテーマに近いものを選んでいるつもりですが、今回は頑張ってもこれくらいしかありません。

トーキング・ヘッズの四人が21年越しに再集結したニュースを見た。
ついこの前にデヴィッド・バーンが「数十年前の解散に対する自分の対処については後悔している」と語っているインタビューを読んでいたから、中々感動的な光景だ。月日も経て悪いことばかりではない。
解散の要因は色々あったはずだが、特にデヴィッド・バーンという人間が知的でエキセントリックで気難しい……インテリバンドのフロントマンを絵に描いたような存在で、その気性故に色々角が立つ瞬間があったんだろうということは想像に難くない。
デヴィッド・バーンの尖り散らし加減は特にステージ上においても顕著で、その長身痩躯でグネグネと奇天烈なダンスを踊る。今で言うコンテンポラリーダンスと言えば聞こえはいいが、その実中学生のタコ踊りと相違無い。

名曲"Once in a Lifetime"のMVで、パフォーマンスもルックスも絶頂期の頃のデヴィッド・バーンのタコ踊りを拝める。バックにどこぞの国の宗教儀式が映し出されて、それに似たようなポージングを彼が取っているあたり、多分何かしらの民俗学的なエッセンスが添えられた意識が高いダンスなのだろうが、意識的にそう解釈しない限りはやはりタコ踊りにしか見えない。

話は唐突に変わって、僕の家にはそこそこ高性能なプロジェクターがある。Android TVが搭載されているから、YouTubeの動画を壁一面に大映しにできる。
以前、同居している彼女を少し吹き出させてやろうと"Once in a Lifetime"のMVを壁に映しながら、デヴィッド・バーンの件のタコ踊りを僕なりに完コピしたものを出し抜けに見せつけてやったところ、文字通り腹を抱えて笑われた。僕の挙動で人にここまで笑われたのは、生涯後にも先にもこれくらいかもしれない。
その日はたまたま僕が酷く長い残業を終えて半分ヤケになっており、それでいて彼女は別にトーキング・ヘッズもデヴィッド・バーンも知らないから、その日以降我が家で"Once in a Lifetime"は原曲の高尚なバックボーンの有無に関わらず「限界残業ダンス」の曲と化してしまった。曲そのものは気に入っているから今でも時々流すが、最早限界残業ダンス以外の意味を持たない。彼女の中でデヴィッド・バーンは「残業過多で頭がおかしくなってとうとう踊り出した人」として認識されている。
不幸なことには僕もそれにつられて、近々でデヴィッド・バーンの顔を見ると「ああ、限界まで残業してる人だ」と頭をよぎる。別にデヴィッド・バーンは残業していない。それに残業するほど仕事を溜め込むタイプにも見えない。定時で颯爽と帰路に就いてほしい。

他の三人については特に語ることはありません。トム・トム・クラブ頑張ってください。

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