アニラジを聴き始めて……何年だっけ?

 実家には昔からマンガと小説が大量にあった。父が好きだったからだ。どれも自分の世代よりは一つか二つ上の時代もので、学校の友達とは共有できない娯楽ではあったけど、少し大人なそれらの本を私は日々黙々と読んでいた。

 小学校はもっぱらそれで、中学校からジャンプ等も読み出し、自分の趣味のマンガも買うようになって、高校では古本屋でマンガの立ち読みを五時間くらいするほどになった。
 小説は少々お高かったこともあり、中学校までは家の蔵書と図書館を利用し、高校からは買うようになった。何を最初に買ったかは覚えていないが、最初に買ったノベルス形態の小説は覚えている。森博嗣氏の『すべてはFになる』。

 実家にあった小説は80%くらい推理小説。

 アニメはというと、普通にドラゴンボールやらドラえもんやらサザエさんやら、あとジブリ作品を見ていたくらいで、特筆すべきようなハマり方ではなかったと思う。高校、大学まで年を進めても(世紀末から00年代初め)、まだそこまでだったと思う。
 あいや、でも、一時期急に劇場アニメとかOVAをレンタルしまくっていた時期があったような。攻殻機動隊とか千年女優とかパーフェクトブルーとか。あれはなんでだったんだろう。全く思い出せない。

 ともかくとして、マンガや小説はずっと良く嗜んでいたが、それが動き出すアニメに関しては、そこまで親しみはなかった。

 それが変わったのは、07年か08年くらい。主原因はニコニコ動画である。

 当時大学院を休学していた私は、図書館でバイトしながら司書資格を取るべく勉強をしていた。ただ、図書館は夜勤で、日中は勉強だけでつぶれるほどには厳しくなかったため、暇な時間も多かった。
 そんな時間、何をやっていたかと言うと、テキストサイトやWEBマンガサイト、そしてフラッシュ動画を漁っていた。時代。

 勉強をするにも暇をつぶすにも、ネットは最適な場所だったな。友達は平日普通に働いてたし。

 それで行き着いたのがニコニコ動画。
 当時、まだ黎明期だったニコニコ動画は破裂するほどのパワーにあふれていて、挑戦的で、誰もがクリエイティブを発散できるような、そんな場所だったように思う。動画にコメントが流れるという仕様も、個人的にうなるほど面白かった。自分も動画投稿してみたりしていたが、それはまた別の話。

 さて、そんな原始惑星みたいに熱々のニコニコ動画は、野放図でもあったので、色んな動画が落ちていたものである。何せネットの片隅。版権とか規制とか、知ったことかってんだとべらんめえ。
 ネット動画という現象に対して、今と比べ、社会的にもまだまだ認知度が低かったし無頓着だったように思う。良いか悪いかで言えば悪い。だから、ちゃんと整備されていく。でも、その頃がそういう頃だったということは、私にも、ある一定数の人にも、救いだった。と思う。

 そこでいわゆる深夜アニメに出会った。
 『涼宮ハルヒの憂鬱』が最初だったと思う。どんな感情で見ていたか、正確なところは覚えていないけど、「ああ、こういう面白い世界もあったんだ」とは、きっと思ったのだと思う。大体全十二話程度の物語は、子どもの頃見ていた長寿アニメとは違ったけれど、だからこそ心に残った。

「アニメの声優さんがやっているラジオがあるようだ」と知ったのは、『らき☆すた』を見ていたとき。コメントで流れていて、知った(はず)。だから、私が最初に聞いたアニラジは『らっきー☆ちゃんねる』。面白かったなあ、あれ。今野さんと白石さんの、夫婦漫才的面白掛け合いがなかったら、ラジオも聞き続けていなかったんじゃないだろうか。

 ただ、一番大きな理由は別にある。

 当時の私には、マンガとかアニメについて話せる友達がいなかった。オタク趣味だから、というわけではなく、そもそも普通に社会人やってる友達と頻繁に会うような時間はなかったし、会えばあったで、話題とすることは他にあったのだ。向こうが知らない話をして共有できないならコミュニケーションとして面白くないし、今風に言えば、私には相手を沼に落とすほどの熱量はなかった。

 そこらへん、一人で親のマンガを読んでいた頃と同じだなと思う。というか、そこが原因というか。個人ではものすごく楽しんでいるけど、そこで完結して、周りとはあまり共有しない。少なくとも自分からは。

 だからアニラジの世界、敷衍して、声優ラジオの世界は、そういう自分のオタク的趣味について、それでも幾ばくか誰かと共有したいという思いが発露される場所だったのだ。
 その中では、それを既知のものとして、思いを同じくする人たちが、我も我もと楽しんでいる。私は、そういうラジオの世界を好きになった。

 思った以上に話が長くなってしまったが、最初の問いの答えはだから、十四、五年となる。
 もはやアニラジというか作品ラジオよりも、作品関係ない声優ラジオの方を良く聞いているが、大きな理由を考えればさもありなんと言ったところか。

 ちなみに、一番長く聞き続けているラジオは『神谷浩史・小野大輔のDearGirl〜Stories〜』で、その次は『洲崎西』。

 長く続いてくれるということはありがたいことです。

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