祖母の葬式に呼ばれなかった話

帰省していたときに祖母が死んだ。
姉と私は新幹線などを使って2時間半ほどのところに住んでいるが、この日はお盆で、たまたま私の家族(K家)は揃っていた。

伯母(祖母の長女)からの電話で、母(祖母の次女)、私、姉はたまたま近所に外出中だったために、誰よりも現場に早く到着した。
祖母は母の姉家族(向こうの家、と呼ぶ)と半同居の状態だったが、我々の到着は半同居だったはずの伯父(祖母の婿養子)よりも早かった。

さまざまな手続きの間、私と姉は役立たずなので実家待機となっていた。
次の日どうしても予定があったために(それすらもキャンセルする覚悟があったが)、一度下宿へ戻る必要があった。
しかし、その用事が終わったらすぐに実家に蜻蛉返りして通夜葬式に行くつもりだった。
アルバイトも休むつもりでいた。
家族葬と聞いていたが、ネットの調べでは二等身までは出席することが多いと書かれているからだ。

葬式の日取りが決まり、休む連絡を入れようとしていたとき、「お前たちは出なくて良い」と言われた。
母と父だけが出ることになったようだった。
費用の関係で、出席人数を絞ることになったらしい。

心残りではあるが、金はどうしようもない。

しかし、よくよく母の話を聞いていくと、全く不快な話だった。
母が言うには、
「最初は私の夫すら入ってなかった」
「O市(車で40分程度)に住んでるSくん(母の姉の息子)は、出席するし、Sくんと妻は一心同体だから妻ちゃんと子供(祖母の曾孫)もよぶって」
「挙句のはてに血縁もない姉の夫の兄も呼ぼうとしてた」

どうやら、向こうの家にとって、我がK家の孫は家族ではないらしい。
いくら現場に到着するのが早くても、まだ死化粧すらされてない祖母に、何回も参りに来ても、葬式には呼ばれないらしい。
誰よりも私が泣いていても、血がつながっていても、何の意味もないらしい。

だが、親のことを荒立てたくない意向により、私は当初の予定通り新幹線で下宿に帰ることになった。
姉はまだ数日いる予定だった。
帰る前にもう一度だけ祖母に線香を立ててから帰ることにした。

「もう帰るのか」と言われたので、私だけ帰り、姉は葬式の前に参列者以外もお参りできる時間があるから、そこでお参りだけしにくると答えた。
「席は用意できないけど、通夜の時後ろで立っててもいいよ。来なよ」
向こうの家はやっと、この時になって言い始めた。立ち見らしいが。
こんなに参りにきているのに参列させないのは流石におかしいと思ったのか、葬儀場の人も「椅子くらいなら1席出しましょうか」と言ってきた。

姉はそれでいいが、私は10分後には帰るのに。
今更である。
予定のキャンセルも代理も立てられない。
それに、この椅子を出す措置は応急的な物である。
私は下宿での予定を終えてすぐ帰ってきてもいいのだろうか。
ただ、あまりに人を増やさせると、一気に100万くらい変わるらしい。そのお金は流石に私には払えない。

結局もどらず、下宿に帰り、その日の予定が終わって、親族ラインを見た。
向こうの家の次女は仕事で外国にいるので、どうしても戻ってこられないため欠席だったので、そのためにラインでどんな様子か写真を撮って、送ってた。

「席の数はこれしか写ってませんが、あとでもう少しだけ椅子をだしてもらえて賑やかにできました」
椅子を結局出したのかよ。1人下宿でのスマホ眺めている私は何なんだ。

「みんなで撮った写真もたくさん飾りました」
しかし、私が写っているものは一枚もなかった。

結局私は家族では無いし、ここで言う家族は、向こうの家が思う家族であって、K家はあくまで関係のない、他人だった。
たしかに、日頃祖母をサポートしていたのは向こうの家だし、彼女たちの方が祖母と親密だった。
それに終わってしまった事は仕方がない。祖母への別れが全くできなかったわけでもない。だから気にしても仕方がないと思ってはいる。

それでも二十数年は私の祖母だったし、葬式に呼ばれたかったと思うのは私の身勝手なのだろうか。



P.S.立ち見って何だよ。ライブかよ。劇の当日券かよ。座れないってお盆の新幹線かよ。
P.S.多分写真を用意したのが向こうの家で、私の母はおそらく用意していないし、祖母と撮った写真を現像して渡したりしていないから、私が写ってる写真がないのだろう。そう言うことにしておこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?