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コロナ禍中にランニングを始めた男の変化:身体・精神・意識の移り変わりの記録

 3年前。2020年5月、新型コロナウイルス流行以降初めての大型連休。政府・自治体・マスコミなど、社会全体で外出を自粛するように呼び掛けがあり、私もそれに従う形で旅行などは自粛。その代わりというわけではありませんが、その時からランニングを始めました。
 ランニング記録はアプリを使用して取得し続けていたのですが、その統計と生活状況を紐付けて概観すると、自分の状態の変化が見えてきて興味深いものがありました。そこで、個人的な「ランニング史」を紹介しつつ、心身に対してランニングが及ぼす影響を考えていきたいと思います。

1.ランニング開始時の状態と意識

 3年前の流行当初は未知の部分が多いウイルスで、致死性もまだよく分からず、とにかく「基礎疾患がある人は重症化しやすい」という程度しか分かっていませんでした。私は特に基礎疾患があるというわけではありませんが、体力や心肺機能が高ければ重症化しにくだろうという考えもあってランニングを始めることとしたわけです。
 ちなみに私自身の身体能力としては、これまでは中高で部活をしたり大学でサークルに入っていたりしましたが、特段長距離走に注力して取り組んできたということはありません。大学の時にハーフに出場して何とか完走したり、就職してから職場の先輩に誘われて市民マラソン(10km)に出場したことがあったり、そのためにトレーニングしたりという程度です。
 この当時(2020年5月)の基礎的な身体情報は以下の通り。

  • 身長:172cm  体重:72kg前後

  • BMI:24程度(ギリギリ標準範囲だが肥満の一歩手前)

  • 体脂肪率:22%前後

2.ランニング開始後の状態・意識の変化

 2020年5月以降の1カ月ごとの総走行距離の推移と、私に起こったランニング関連のトピックをまとめたものが以下のグラフになります。

2020年5月以降の月間走行距離

 ここに記載した以外に、意識の変化をもたらしたこともありますので、時系列に沿って特筆すべきトピックと状態の変化を記載します。

①2020年9月頃:シンスプリント的症状の発症

 急にランニングを始めて毎月50~60km程度走っているうちに、走り始めると右足の脛辺りが痛む症状が出始めました。恐らく正しいフォームが固まっていないうちに負荷をかけたため、不自然な箇所に力が入りすぎてシンスプリントのような症状が出たのでしょう。整体院に運よくランニングに詳しい先生がいたためアドバイスを貰いつつ、数カ月間通院してリハビリ的に軽いジョグを続けました。

②2021年~:ストレスによる心身の不調

 当時、毎年メンタル的な不調により休職者が出るような高ストレスな職場に勤務しており、私も数年間は耐えていたもののこの頃から食欲減退、慢性的嘔吐感、睡眠障害、業務効率低下等が顕著になってきていました。ランニングによりメンタルが鍛えられていたため耐えられていたとも考えられますが、この頃になるとランニングを行う気力・体力も枯渇しはじめたのか、月間の走行距離も明らかに減少しています。

③2021年2月:アイマスライブ開催(コール・歓声禁止)

 このくらいの時期から、人が大勢集まるようなライブコンサートも徐々に開催されるようになってきました。私は他の記事で書いているとおりアイマスオタクで、「アイドルマスターシャイニーカラーズ」の2周年ライブに現地参加したのですが、レギュレーションとして観客の発声(コール・歓声)は禁止。
 この時、私は思いました。いつかコールが解禁されるときが必ず来る。その時、全力で応援を届けられるように心肺を衰えさせてはならないと。健康のためと思って始めたジョギングですが、この頃からはアイマスのライブでコールが解禁されたときのための体力作り、心肺機能の強化が主な目的となりました。
 ところが、前述のとおり心身の状態が悪化していき、一時的に奮起して走ったりすることはあったものの、基本的にはそれどころではなくなってしまいました。

④2022年1月:ギックリ腰、それに端を発する精神不調の噴出

 何か重いものを持ったとかいうわけではなく、急にギックリ腰になり数日間仕事はおろか日常生活に支障を来す状態となりました。それをきっかけとして、メンタルの状態が一気に悪化した感覚があり、結果、整形外科・整体院だけでなくメンタルクリニックにも通院し始めます。

⑤2022年4月:異動により業務内容変化、ストレス要因消滅

 私の状態が考慮されたのか単に人事の都合なのか分かりませんが、異動となり職務内容が全く変わりました。ストレスの要因から結果的に解放され、メンタルの状態も回復していきます。また、ギックリ腰もほぼ回復し、違和感は残りつつも無理しなければ日常生活やランニングにも支障はない程度の状態となり、一挙に状況が好転していきます。

⑥2022年10月頃:ハーフ出場決意、Forerunner955購入

 4月以降、状況が好転したことによりランニングにも力が入り走行距離も増えていきます。そんな中、何を思ったか久しぶりにハーフマラソンに出てみようという気持ちになりました。チャレンジ精神が沸いているということはメンタルが回復している証拠とも言えるでしょう。
 時を同じくして、友人がGarminのスマートウォッチを激推ししてきました。トレーニングに非常に効果的だと。そこで、ハーフにも出るしと思ってGarmin Forerunner955を購入し、これを使用して日々のトレーニングを計測するようになりました。確かにペースや距離がかなり正確に分かって非常によいものです。もっと早く導入すればよかったとすら思います。

⑦2023年1月:ハーフ完走、サブ2達成

 ハーフマラソンに出場。目標をサブ2に設定し、そのために一定のペースで走り続けることを意識して臨みました。そのためにはやはりGarminが必要不可欠だった。結果、終始ほぼ一定のペースで走り続けられ、サブ2は何とか達成。ここで達成感と自己肯定感を得たことで、次の目標を1段階上に設定してランニングに取り組もうとモチベーションがかなり向上しました。

⑧2023年2月:アイマスライブでのコール解禁

 この時期に、政府発表のライブコンサートでの発声などに関する指針が変更になり、主催側に委ねられるようになりました。コロナ以降ずっとレギュレーションで禁止されていたコールがついに解禁となって初めてのアイマスライブ。運よく現地チケットが取れていた私は、周囲の観客も同様だったと思いますが全力で声を出し応援を届けようとしました。なかなか観客側も体力を消費するセトリだったと思いますが、周りがバテている中でも私はまだまだ大丈夫だという気持ちになれたのはランニングによる持久力・心肺機能の向上の賜物でしょう。

⑨2023年3月~:Garminコーチに従ったトレーニング実施

 せっかく高いスマートウォッチを購入したのだから機能を有効活用しなければと、Garminコーチというトレーニングメニューを組み立ててくれる機能を設定し、それに概ね従ってトレーニングをするようにしました。自分で適当に時間や距離を決めて走るよりも厳しめに設定されており、月間走行距離が一気に向上します。それでも、今まで鍛えてきた成果なのか、今までの倍以上走ってもそこまで苦に感じないようになっていました。

 約3年経って、基礎的な身体情報は以下のように変化しました。

  • 身長:172cm  体重:67kg前後

  • BMI:22.6程度(標準範囲内での中間~やや高め)

  • 体脂肪率:17%前後

3.実体験から分かったこと

 以上の紆余曲折あった約3年のランニング史の中で、いくつか分かったことがあります。誰にでも当てはまるというわけではないでしょうが、私の場合は以下のことが言えます。

  1. ランニングはフィジカルだけでなくメンタルも鍛えられる:もともとそういうイメージはありましたが、仕事上のストレスへの耐性という点で、後から振り返ってみると実際に効果があったのだと思えます。心身のどちらかに余裕があればもう片方のフォローができ、結果的に耐久力が上がるという面があります。

  2. 漠然とした目標より具体的な目標を設定した方が頑張れる:これも当たり前だと思うかもしれませんが、「健康のため」という目標よりも「〇〇のために体力をつける」という具体性があった方がトレーニングにも身が入ります。レースの完走やタイムなどに目標を設定できるのであれば尚良いと思います。

  3. メンタルが病んでいると体力に関わらず走れなくなる:ストレス解消のために運動をするというのは効果的ですが、解消し切れないほど強いストレスにさらされ続けメンタルが病んでくると運動すらできなくなります。自分でも不調期に全然走れていないことは自覚していましたが、「今日はいいや」というような妥協と逃げに意識が向いていってしまいます。

  4. 他者の決めたメニューに従う方が強度の高いトレーニングができる:私の場合はGarminコーチですが、ジムのトレーナーなどに指示してもらってトレーニングすると自分の考える限界を超えて取り組めるようになります。自分に合ったトレーニングメニューを設定してもらうというのは1段上を目指すためには非常に効果的だと言えます。

4.まとめ

 やはりランニングはどんなスポーツでも基本とされるようなトレーニングであることからも分かるように、フィジカルは勿論のことメンタルも含め総じて鍛えられるワークアウトである。長期的に取り組んでいれば心身の状態を計ることもでき、よほど無理をしない限りは健康状態も向上、自己肯定感も得られていいことづくめ。走り慣れていないと最初のうちはツラいが、それを乗り越えるために何らかの目標を設定して2~3か月くらい頑張れば習慣化できる。
 さあみんなも走ろう!とは言わないが、最初のツラさが嫌だからと忌避するのはもったいない。ダイエットを志向する人は多いが、運動せず食事制限で痩せようとするのは不健康極まりない。ライブやフェスでバテない体力を付けることもできる。これはもう走るしかありませんね。

 ちなみに、上に載せたグラフは4月までしか記載していませんが、5月以降も当然継続しています。体重と体脂肪率も更に落ち、体組成計の判定した体年齢は実年齢より5歳ほど若くなっています。週末にハーフマラソンの距離を走ってもさほど疲労は蓄積せず、3週連続でハーフを走ってサブ110まであと数秒というところまで来るなど、もはや健康のために走るというレベルではありません。

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