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【ネタバレ有】アニメ『アイドルマスターシャイニーカラーズ 2nd season』先行上映第3章感想

 9/20にテレビ放映に先駆けて劇場先行上映の始まった標記の『アイドルマスターシャイニーカラーズ 2nd season』、第3章。第1章はストレイライトやハロウィンライブのインパクト。第2章は原作の中でも重要かつ人気の高いコミュを映像化した、シャニマス味の一番濃いところ。では第3章はどのようになるのか、最終話に向けてどのようにまとめてくるのか……さっそく観賞してまいりました。
 今回も舞台挨拶のチケットが取れたので、そこで初見とするために敢えて公開当日には見ていません。しかも今回は3回の舞台挨拶全通です。裏話も聞けて非常に有意義でした。

 まずは、予告の内容は踏まえつつネタバレを含まない程度に第3章の感想。

 第2章に続いて、原作コミュに基づいたシナリオでユニットの中での愛依と智代子の立ち位置やパーソナリティを掘り下げる第9話と第10話。そして、原作コミュに大幅に手を入れて再構成し透を描く第11話。やはり原作コミュは強い。イルミネ以外の5ユニットは個別に関係性の変化や絆の強まりを描いてきたのに対し、イルミネの普遍的とも言えるような不動の安心感。
 最終話は当然の如くライブ回。第7~11話でユニットの関係性を深く描いてきて、ここで披露された楽曲に全て収束するような構成にしたのは見事。楽曲に対する解像度の高さというか解釈の深さというか、このあたりはさすがシャニマスといったところ。綺麗に締まった最終回でした。


 以下、あらすじやネタバレを含む感想を記載していきます。細かい箇所では誤りがあるかも知れませんがご容赦ください。











第9話

あらすじ:
 舞台に上がると上手く喋れなくなってしまうため、無口でミステリアスなキャラを演じることにした愛依。ライブ等を重ねるうちに徐々に緊張しなくなってきたので、そろそろ素の自分が出せるかも……と冬優子やプロデューサーに相談し始めた最中、偶然プライベートの様子を見られてSNSで拡散されてしまう。大事には至らなかったものの、作ったキャラが自分の中でどのような存在なのかをより深く考えることとなり、これも自分の中の一部であると気付く。

 原作コミュ「The Straylight」を中心に、W.I.N.G編での基本的な情報を加えて補完し、第1話・第2話などでは触れられていなかった愛依のキャラ付けに関する話をしっかり描いた回。第1章を見た時点で、愛依に全然スポットが当たっていないから後の話でやるかもという予想が概ね当たった(多分そう予想していた人も多いはず)。予想というより期待でもあったため、ちゃんと見せてくれたのは嬉しいところ。

  • 和泉家は妹もかわいい。しっかり者。健康的。アイドルに興味はありませんか。

  • 「無理はするな」に対して「だから相談してるんでしょ」という冬優子からの信頼の厚さ。ブランディングの勉強も始めて、将来はプロデューサーアイドルの道も……?

第10話

あらすじ:
 友人の付き添いだったはずなのに代わりにオーディションを受けることになり、合格してアイドルになった智代子。そんな経緯からか、「どんなアイドルになりたいか」という質問に対する答えが見つからない。もしかしたら自分は本気でアイドルに取り組めていないのではないかと悩むが、その友人との関わりの中で自分の目標が明確になっていき、ユニットメンバーにそのことを謝りつつ自分が目指すアイドルの姿を打ち明ける。

 智代子のpSSR「かきまぜたら*ミルク」を中心として他のコミュで明かされた情報を付加しつつ、ライブツアーに向けた準備の中での出来事にするために流れを調整した回。プロデュースシナリオやイベントコミュだけでなく、pSSRコミュからも映像化してきた。pSSRコミュはユニットメンバーが出てこない話も多い中、重要かつユニット全体の話として使えるこれを出してきたのはさすが。

  • あすみちゃんより太い智代子のふともも。それでこそ智代子。

  • 智代子がプロデューサーに「オーディション関係者の方ですか?」と話しかけたシーンで、一瞬だけ光が煌めいたような演出が。プロデューサーにはその輝きが見えたということだろうか。

  • 真面目な智代子らしく、アイドルになったきっかけを深く考えすぎているところがよく見える。そんなこと言ったら凛世は……いや、凛世は凛世で真剣か。

第11話

あらすじ:
 有名人のSNSに偶然映り込んだだけで、何も頑張っていないのに急に有名になってしまい仕事が増えた透。その仕事でも自然に振舞っているだけで上手く回るためどこか不完全燃焼なところもあり、アイドルというものがよく分からない。そんな中で頑張っている真乃の姿を見て、そして真乃との対話を経て1つのアイドルの在り方に気付く。

 透のG.R.A.D編をベースにしているが、委員長もミジンコも出てこないし100周ランも無い。「頑張っている人」を真乃として大胆に再構成し、学校での出来事ではなく仕事とアイドルとの関わりの中で透の心情の変化を描いた回。理解せずに改変すると「っぽい」だけになってしまうところを、ここまで大幅に変えつつ本質がしっかり維持されているあたり、理解度と透の解像度の高さはさすがの一言。それが当たり前……と言われそうだが、雑に原作改変するアニメも多数あるのでちゃんと評価したい。

顔がいい
  • 普段は飄々としてるのに、全然頑張ってなくても楽勝なのが逆に不満でやさぐれているような様子が感じられる演技と演出。微妙な感情を表現するのが上手い。

  • 円香が褒めてるのに「ぴぃ」と鳴く小糸。あそこ絶対アドリブでしょ。

  • 第6話の対比となる屋上での会話。太陽の光の方を向く真乃、背を向ける透という構図から、真乃と話しているうちに透も光の方を向く。シャニアニこういう演出が好きすぎる。もちろん私も好きです。

第12話

あらすじ:
 全国ツアーの初回公演が始まる。小糸が初の大型ライブで弱気になっているところを、イルミネは新曲の歌詞に乗せて勇気づける。それを受けてノクチルが舞台に上がると一面の青いペンライトの光で、透も思わず走り出してしまう。ライブやその準備、仕事などを通して、目指すアイドル像が明確になってきたり、ユニットの絆が深まったりと、それぞれのアイドルとしての将来に展望が拓けてゆく。

 ライブ回ですが、2期オリジナル曲としては未披露のイルミネ曲『星の数だけ』、ノクチルの『いつだって僕らは』、全体曲『プリズムフレア』の3曲のみライブパートあり。第5話でも第11話でもなくここに『いつだって僕らは』を持ってくる判断、素晴らしい。各ユニットの関係性が変化し絆が深まっていく話を描き、智代子とあすみちゃん、真乃と透など、個人ごとの関係も描いた後でこの歌詞はどこにでも合致する。

光集めて 響け遠くへ 結んだキズナ信じて
何だってできるよ 一人じゃないから 昨日よりもっと
輝け 届け明日へ 未来を呼んでみようよ
いつだって僕らは せいいっぱい僕らは 昨日よりもっと強く
光れ 光れ

ノクチル『いつだって僕らは』

 この曲はノクチルの在り方をストレートに表した曲で、『あの花のように』と合わせて2曲でノクチルの全てを歌っているかのような完璧な自己紹介曲……と思っていたのですが、私はそのことに囚われ過ぎていたようです。こんなに他ユニットにも符号するとはお出しいただくまで気付けなかった(MUGEN BEATでシーズが歌ったときは何か別の重みがあったし)。
 あと、何と言ってもノクチルがこの曲を歌うとどうしてもMUSIC DAWNを思い出す。座席にペンラ型の照明が設置されていたとはいえ無観客。もし有観客であれば、キャストの4人もノクチルの初舞台で同じ光景が見れたのかも知れない、見せられたのかも知れない。それをアニメでリベンジし、アイドル4人にあの光景を見せてくれた。嬉しいです。

  • ライブ開始時のタイトルコールを恋鐘が務めるあたり、やはりこの世界での283プロ看板ユニットはアンティーカ。

  • 小糸の様子を見て急に灯織がポエミーなこと言いだしたと思ったら、歌詞の一節だった。

  • フル尺では無いとはいえ『いつだって僕らは』をここに持ってきて各ユニットそれぞれの姿を想起させるの天才。泣いた。

  • 花道を走っていくノクチルそれぞれの動きがもうライブで見たままというか見たことあるというか……ノクチルは実在する。

まとめ

 第3章もよかった。ユニットの中の個人に焦点を当てることで、個人だけでなくユニットの中での立ち位置や存在、それを通してユニット全体の姿が浮き彫りになるような構成。問題・課題の発生・発見から、解消・解決に至るまでの行動や思考で個人の成長と変化を描く展開。それらを満たしている原作コミュの選択と、一部改変を加えつつ本質を維持して描くシナリオ構成。素晴らしいです。
 2期全体で見ると、第1話のライブシーンのクオリティ。第2話では叙述トリック的に第1話の裏側を描く展開。第3~4話ではライブシーン盛り沢山と、つかみとしてヤマ場を多数用意する。そこからはユニットごとに原作コミュを使って、1話完結的に起承転結の整った構成だが深く内面を描くシナリオ。そして最後の第12話で、こちらも盛り沢山のライブシーンはありつつ歌詞に乗せて各ユニット回の結末を想起させ締める。最終話に収束させて締められる曲自体の力と構成の巧みさには脱帽です。

 1期と比べるとどうかとなると圧倒的に2期の方が面白いわけですが、当然1期で4ユニット個々の話をやらなければ2期に繋がらないので、別物として比較するわけにもいかないでしょう。

 舞台挨拶は各回それぞれ楽しくもあり非常に興味深い内容を話していましたね。とおまの屋上シーンはほとんどプレスコだったというのは驚きました。河野さんは相変わらず語彙力のあるオタクぶりを発揮。起承転結の話をしているときにちょっと言い間違えた箇所で、我々も(ん?結じゃね?)と思いつつ聞き流そうとしたのに「ケツじゃね?」と指摘した〇〇ち。笑いました。ライビュの無い回で良かったね。

舞台挨拶と同じ施設で開催中のプラネタリウムイベント
※シャニアニとは一切関係ありません

3期があるのか否か

 1期終了時に2期の告知があったことから、今回もシーズ・コメティック加入で3期の告知があるのか!?と思いましたがそんなことは無かった。
 恐らくですが、2期に接続する形での3期は無さそう。夏目Pに対しての不満は一切無いけど、初期のシーズやルカに対応できる様子が全く想像できない。シーズにカウンセリング受けさせたり感謝祭の構成にGO出したりするような、外連味というか搦手を使ってでもユニットの関係性に主体的に踏み込んでいく感は無い。ルカに対しても同様。

 シーズのことを描くんだったら、『事務的光空記録ジムテキシャイノグラフィ』の映像化の方があり得るかも。まだ連載が始まってそこまで経っていないので分かりませんが。




余談:粗探し

 ここまで絶賛と言っていいほど褒めちぎっていますが、第3章で「おや?」と思った箇所が全くなかったわけではありません。しかし、どれも些細なものなので全体の評価には影響しません。
 それを敢えて書こうというのは、同じような指摘をしている人がいるとしても粗探し・難癖・アンチコメの類であり一考に値しない事項であると先回りして言いたいだけのこと。一応、気づいた点として以下の事項を挙げておきます。

  • スチル撮影してるとき、カメラを通した映像の左上に「4K 3840×2160」って表示されてるけど静止画をそんな低画素数で撮ってるわけないよね?830万画素だよ?プロのデジタル一眼だよ?……まあ動画だとそのサイズになるっていう表示がされてるだけだと考えよう。

  • 晴天の屋外で「ISO200 SS1/125 F5.6」みたいな設定で撮ってますけど、絶対白飛びする。露出補正でめちゃくちゃ暗くする理由もないし、フィルター付けてもそんなに暗くならない。

  • 真乃と透が屋上で話しているシーン、太陽に背を向けているのに透の顔には全く影ができていない。首にはしっかり影が付いているのですぐ気づくし違和感もある。




 さて、シャニマス関連のイベントとしてはこの舞台挨拶の翌日。9月22日、ナガノアニエラフェスタにアンティーカとコメティックが出演します。アーティスト峯田茉優も出演します。心配は天候のみ、万全の準備をして向かいたいと思います。


※追記:本記事は9/21の舞台挨拶当日に執筆しています




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