【同人】お嬢様に訊いた「正直疲れてきた人向けのお感想の書き方」「無課金アバター感想術」
時は大感想三国時代。
匿名箱はマシュマロ派、お題箱派、ほめて箱派に別れ、インターネットは群雄割拠の混沌の渦のただ中にあった――。
大きな流れがあれば、必ず反発するちからや流れに疲れたお嬢様が現れるものですわ。
お感想書くの、つらいですか? 大変ですか?
なら、バッサリやめちまいましょうか。
といってもこれは極論なので、あとでフォローするからここだけ切り取って放火は勘弁願いたいですわ。特殊消防隊を呼ぶのは最終手段わね。
今回のお記事は疲れて来た人向けのお感想の書き方と、疲れないためのお感想の書き方です。
背負い込みがちで繊細な方向けなので、現在過去未来なーんにも困っていない豪快お嬢様は見なくてもいいお記事ですわよ。
■お感想は義務ではない
ごくまれにいらっしゃるサバイバーズギルト系お嬢様は「誰かに尽くしていなければ、役に立たなければ、生きていい許可をもらえない」と強く思い込んでるわ。
この自己犠牲お嬢様は、自分がどんなに辛くてボロボロの状態でも他人に手をさしのべ続けます。自分の痛み・やりたくない気持ちには極限に鈍感で、感情を理性で押さえ込んだ状態ね。
その状態で「かならずお感想を送らねばならない」「人が求めるSOS(おマシュマロおねだり)には応えるべきだ」という(ある面では正しい、立派な)規範がインストールされたとき、自己犠牲お嬢様は非常にマメな送り手になるわ。
でも、「かならず」「絶対」の鎖で縛られ続けると、やわらかい心身は疲弊してしまうわ。
少しでもつらいなら、書かなくてもいい。
あなたが第一にケアすべきは、まずあなた自身。
つらい気持ちや欲望、生まれたままの自由な感情を赤ちゃんに例えましょうか。生きとし生けるお嬢様はみな赤子を抱いています。
自分がつらいのに他人に尽くしてばかりの姿は、すなわち大泣きしている自分の赤ちゃんをネグレクトして、他人の赤ちゃんの面倒をせっせと見ているようなものですわ。
他人の機嫌、感情、人生は背負わなくていい。
自分の赤子は自分で世話するものだし、どんなに他人が一生懸命世話しても、その親権は決して移らない。
お感想やお便りも義務ではありません。
つらいなら億劫なら苦しいなら、まずは自分をケアするのがツヤツヤお嬢様ですわ。
■お感想向き不向きチェック
赤子が泣いているわけではないけど、でもお感想にいつも苦戦するお嬢様もいらっしゃるでしょう。以下は簡単な向き不向きチェックですわ。
映画やテレビ番組、動画配信、漫画、読書……なんでもよろしいけれど、何かしら楽しみにしている一次創作コンテンツを思い浮かべましょう。
毎回ではなくとも、特別面白かったとき……感想をしたためていまして?
そうでないなら、今試しにおツイッターやおメモを開いて、特別面白かった回を思い出して、140字以内でお感想は言えるかしら?
……
…………
………………………
もし何の言葉も、一言「よかった」すら出てこなかったのであれば、壊滅的に向いてないですわ。(感想絵なら書けるのに! と思ったあなたはイラストお嬢様ですわ。言葉よりもイラストの道を探求するといいわ)
向いてないなら向いてないで、もちろんトレーニングをすることも可能ですけれど、生きていくのに必要ないスキルならスッパリ諦めるのも手ですわ。
だって、そんなに向いてないのに「書かなきゃいけない!!」と思うのってつらいでしょう? 逆上がりができない子に大車輪は強要できないわ。
お感想以外にも作者お嬢様に貢献できることはあるし、書けない自分を責めなくてもいいのよ。
たとえばわたくしは6年習ったおピアノが全然ひけないし、楽譜だってドから数えなきゃまともに読めません。お歌も音痴です。
もし「楽器の演奏でしかコミュニケーションできないSNS」にどハマりしたらさぞかし辛い毎日でしょうね。毎日毎日苦手なことをしなきゃいけなくて、苦手であるという評価をつきつけられ続けるので……。
そういうときは、逃げちゃいます。あるいはそのSNSが自分の中で占める大事さの割合を減らすでしょうね。
■無課金アバター感想術
さっきの向き不向きチェックで一行は書けた方へ
じゃあお感想は一行で十分ですわ。
「面白かったです! 応援しています!」その一行に心を込めるの。
ない長文より来る一行ですわ。
「お感想が書けない」「うまく書けずに悩む」理由は二つあるわ。
・何を書いていいかわからない
・素晴らしいものを書かなければいけないと思い込んで、ハードルを勝手に上げまくっている
前者は経験を積むなり他者を真似るなりすれば、自然と身につきます。
後者の場合は、完璧主義を投げ捨ててまず一行好きな誰かに送ってみましょう。
テェムラインをざっと見て、この人ほしそうだな〜、「感想が短すぎる、愚かな愚民め…」とか言わなそうだな〜、という人に送りましょう。
わざわざ言ってないけど思ってたポジティブなこと(いつもABのつぶやきをありがとうございます)(そういえば先月アップしてたらくがきのAB最高でした)などがいいですわね。
あ、一行しかないので返信に困るかもしれないわね。「返信不要です」もつけておきましょう。
……どうかしら?
それだけでいい気分になるのではなくて?
それに、一行だけだったからといって罰されたり怒られたりはしなかったわね?
もちろん、不要と書いたから返事はないのが普通で、相手が喜んだかどうかも分からない。100点満点中いくらのスコアだったかも分からない。
でも、一度送ったことで「完璧で長くてすばらしいお感想を書かねばいけない」という鎖は、はじけてまざってきたねえ花火になったわ。いち、にの……ポカン!ですわね。
いま鎖をとっぱらったお嬢様、それからなんなくお感想を書けるお嬢様にも、オススメの書き方がありましてよ。
○無課金アバター感想術
まずは「〇〇面白かったです!」「〇〇ありがとうございました!」だけ一行書いてみましょう。これで満足ならさっさと送っちまって構わないことよ。
けれどもし、あなたに「これだけじゃあ物足りない」という感情が湧くのなら……その感情こそが「感想」の出処ですわ。
・作品がよかったら「最高でした」「面白かったです」「顔がいい」
・感情が動いたなら、「泣きました」「笑いました」「叫びました」
・作者お嬢様の健康を願う気持ちが湧いたなら、「ご自愛ください」
・もっと見たいなら、「次も楽しみにしています」「作者お嬢様のAB大好きです」
……と付け加える。
それだけで立派な感想になっていることよ。
わたくしはこの、最初に短文だけ書いて、納得いかなかったら書き加える手法を「無課金アバター感想術」と呼んでいるわ。
ここまでは自己満足の領域ね。
感想においては「相手を喜ばせること」ばかり考えていては泥沼にはまっちまいますけれど、もしあなたに余裕がおありなら、プラスアルファで「具体的によかったところを伝える」とよろしくてよ。
多くの作者お嬢様にとって知りたいのは、「どのシーンが刺さったか」ですわ。
ですから、もしそこまで教えてくれる……教えてくれるほど印象に残ったシーンがあるのなら、「特にBが告白し、Aが泣くところが最高でした」「12ページの喧嘩する二人が可愛すぎますわ」など具体的に書くと、作者お嬢様はハチャメチャに嬉しいわ。
作者お嬢様は嬉しくて、もしかしたら「よかった」と伝えたような点を持つ作品をまたつくっていただけるかもしれないわ……!
下心丸出しの過度な期待は厳禁ですが、そうなればおWin-おWinですわね。
繰り返し言うけど、「ない長文より来る一文」ですわ……!!
無課金アバター感想術
・まずは一行書く
・それで納得できないなら、もっと書く
・余力があるなら、具体的によかった、印象的なポイントを書く
・「お返事お気遣いなく」「返信不要」でしめると無難(忙しそう、返事が苦手、繊細な相手向け)(もともと匿名箱は返信不要が当たり前だけど)
逆に注意点ですが、作者お嬢様によってはNGなこともございます。
NGかもリスト
・作者お嬢様の「好き」をsageる(ダメゼッタイ)
・自分語りをする(基本的にダメ、感想の文脈なら人によってはオーケーかも)
・展開予想をする(基本的にダメ)
・誤字脱字や矛盾点の指摘、アドバイス(お願いされないかぎりやらないのが無難)
世の中には色々なタイプの方がいらっしゃいます。
同じタイプの間では褒め言葉でも、別のタイプに言えば「やめてくれ」と言われたり、100人中99人が喜ぶ内容でも1人はメチャクチャ激怒したり、そういうこともあるわ……(遠い目)。
万に一つの特例を考えていても意味がないので、とりあえず「広く一般にNGなのはこう」という指針をまとめておきました。
特に、クセになっているお嬢様が気づかずやってしまいがちなのは、sageね。
「好きをsageる」の具体例
ABが大好きでABを書いているお嬢様に「AB嫌いだけどあなたのABは読めます」と言う
……たとえ悪気はなくても相手を傷つけることってあるわ。もちろん、これは相手にもよりますわ。
豪傑お嬢様ならなんにも気にせず「そっか、俺が好きなんだな! ガハハ!」と受け取るでしょう。逆に、繊細な方は「AB嫌いなんてわざわざ言わなくていいじゃん……」と落ち込んでしまいます。
「好き」という気持ちはオキシトシンを伴います。このホルモンは幸せホルモン、愛とつながりのホルモンともよばれ、特に恋愛・育児中のお嬢様をいい気持ちにさせることで有名です。こうやって種の存続が保たれているんですのね……。
一方オキシトシンは、つながりのない他者への排他傾向を増幅するとも言われています。これも、自分の遺伝子を伝える赤子を優先して守るという本能行動なのでしょう。
好きなものにどっぷり浸かっている状態は、同じくオキシトシンが分泌されている状態のように思えます。よって、人によってはかなりsage、disに敏感になり、ガルガル過激モードになってしまうのですわ。性格もあるけれど、人間なら誰でも持っている機能として覚えておきましょうね。
ですから、他お嬢様の「好き」を尊重しているか? 余計なsageは入っていないか? というチェックを送信前にするのが無難ですわね。
■おゴール設定を変えるだけで生きやすくなる
これはわたくしの尊敬するお嬢様のお悩み相談ですわ。
この匿名お嬢様のおゴールは相手主体で、
「相手を喜ばせ、そうと分かる個別のお返事をもらうこと」が目的で、それが達成できずにつらくなってしまったのね。
うたピース先生お嬢様の回答は「自分勝手に生きたほうが楽かも」「自分勝手に(自分の気持ちを尊重して)生きると、(相手の気持ちも尊重して)あきらめもつく」とおっしゃってるわ。
(原文をお読みになってね)(リンクフリーとのことで紹介させていただきましたが、もしアカンかったら土下座します……)
だいぶ前にこれを拝見したとき、わたくしどきっとしたわ。相手主体の生き方に、身に覚えがありすぎたからです。
「相手によろこんでもらう」ことだけを目的にすると、つらいわ。目的達成条件は「相手が喜んだ姿を確認すること」になり、他人に生殺与奪の権を握らせることになっちまいますね。
相手の行動は、自分ではコントロールできないわ。他人の反応に一喜一憂するのはとても大変で、また、望んだ結果が得られないと相手をうらむ気持ちがでしまいます。
「相手をよろこばせる」のではなく、目標設定を「自己満足」にすると、不思議と幸福度が上がりますわ。
「すばらしい作品にお礼を言って自分が満足になること」
「お誕生日を祝って自分がいい気分になること」
「落ち込んでいるお嬢様を励まして自分がほっとすること」
自己中心的に見えるかもしれないけれど、あなたの世界の中心は紛れもなくあなたで、他人に明け渡すものではないわ。
それに、目的が「喜んだ様子のお返事をもらうこと」だと激高ハードルですが、「送っていい気分になること」はすぐ達成できますよね。
その後、お返事をするかどうかはお相手次第。送った時点で満足しているから、お返事を気にしてモヤモヤすることはありませんわ。
……もらう側の視点でも考えてみましょうか。
同じ300字の激嬉し感想でも、
①「言い終わって満足しました! 返信不要で〜す」
②「あなたによろこんでほしくて一生懸命寝ずに考えて送りました。ぜひとも盛大に嬉しがっているお返事をください。毎秒首を長くして待ってます」
受け取ったときに負担が少ないのは①の方よね。
②はありがたいけれど「そこまでしなくていいよ…!」と思ったり、「どんな返事をしたらこの人は満足してくれるのだろう」と悩んだりしますわ。
好き好き大好き超愛してるお嬢様へのお気持ちって重くなりがちですが、②のようなお便りを複数人から恒常的に受け取り続けた神お嬢様は、よほどの豪傑でなければ病んじまいますわ。
一生懸命かいたお感想になにかしらの見返りを期待してしまうのは生き物として当然の感情だけど、そこはグッと抑えて「もうすでに素晴らしい作品を見せてもらって、そのお礼を言っているのだから、返事など不要」という覚悟完了マインドを持つクセがあると、生きやすくなるわ。
おジャンプ+では漫画のコマをTシャツにできるサービスがあるので、生殺与奪の権を他人に握らせるなTシャツを作って毎日着ればきっと身につくのだわ。
■お感想三箇条
①書くときは、自分の気持ちに正直に。
(無理して長く書く必要も、おべっかの嘘をつく必要もありません)
②添削するときは、相手を傷つけない、喜ばせる内容かどうかで判断。
③送信ボタンを押すときは、「これでもう満足! 返信不要!」と自分にゴールを言い聞かせる。
②と③では別の視点なのがポイントですわね。
②では相手を喜ばせようとしている(他者満足)のに、③のゴールは自己満足です。この場合心が2つある方がうまくいくものですわ。
……大変ですか? うへえってなりました?
それなら、ポジティブ一行でいいです。頑張りたい人だけ頑張ればいいし、お感想は一行だけの無課金アバターでも全然いいんです。
お感想を書く時の図を用意しておきましたわ。
創作活動って楽しい。
でも、SNS(特におツイッター)はコミュニケーションツールの側面が大きくて、創作とコミュニケーション、生活、人生がまじりがちですわ。
本来楽しい趣味のはずが、重い重い荷物を背負い込んだり、病むほど悩んでしまう人もいる。
でも、「それ」によって生活していないならば、ただの趣味です。人生かかっていません。
やること自体が楽しくてやっているジグソーパズルや刺繍、ボルダリングとかわりません。
楽しくない趣味はお休みしてもやめてもいいし、それぞれが楽しい範囲で満喫するのがいちばんいいわ。
まずはがんばった自分におブラックサンダーとお紅茶花伝を差し入れてあげてね。🍫☕
【参考】発展版
次回のお記事は「困ったお便りをもらってしまう」「どういうふうにお便りを送ればいいか」……もらう側、送る側のお便りを紹介しますわね。
このお記事はその前段階の、いわばおジャブよ。
【追記】
石油王の方へ 役に立ったらお紅茶花伝1本分のおサポートをお願いします。だいじに執筆に使わせていただきます!