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046「Ⅿ-1 2020は”産業革命”だ」お笑いファンが言い切る理由とは?

こんにちは。編集者を夢みるこひつじです。
※この記事はⅯ-1 2020に関する重大なネタバレを含みますので注意して読み進めてください。

0.「Ⅿ-1 2020も最高だった!」って思ってますか!

私はお笑いが大好きです。
お笑い好きが高じて、うっかりⅯ-1 2020に出場しちゃったくらい好きです。

気づいたことがあります。

芸人さんは神様です。
漫才は神業です。

あんなこと、普通の人間にはできません。

人を楽しませたり、笑わせたりすることに人生を懸けています。
そんなこと凡人には出来ません。好きだけで続けられる仕事でもないと思います。

Ⅿ-1決勝に出る人間は、1本の漫才のためにノート何冊もつぶします。100回は添削します。
そしてネタを会場にかけて、言葉やタイミング、動作、語尾、間、目線、すべてを念入りに修正します。そしてその練習を一切見せません。

そんなに練習しているのに、努力を見せません。
お笑い芸人さんはただただおもしろいです。
夢中になります。幸せでいっぱいになります。死にそうになります。

愛が深くてみなさんを置いてけぼりにしていたらすみません。

でも、それくらいしびれちゃいます。。。。。

1.お笑いファン目線「M-1 2020”産業革命”ポイント」

注意:今から偉そうにしゃべりますが、批判的な文章を書く意図は全くありません。なお余談ですが僕は今年初めてM-1出場したのに堂々の1回戦で敗退しました。お願いなので優しくしてください。
そして何より大前提:芸人さんは神様。を理解の上読み進めてください。

(1)Ⅿ-12019→2020。その時漫才の歴史が動いた。

昔の携帯電話は肩掛けでした。

そのあとだんだんと技術が発達していきます。
片手で持ち運べるようになって、徐々にメールが打てるようになって、折れ曲がり、今ではタッチスクリーンに音声認識、動画のやりとりもできるようになっています。

人の熱意によって、万物は進化します。

これは漫才も同じです。
さまざまな革命的芸人さんが、お笑いの世界を進化させてきました。

そして昨年のM-1 2019。

そのチャンピオンであるミルクボーイの「元祖行ったり来たり漫才」の型は現代漫才の集大成と誰かが言っていました。
歴代最高得点が出ていることも、これを表しているのかもしれません。

当時のお笑い芸人のみなさんは「Ⅿ-1 2019に、しゃべくり漫才における正解を見た」と言います。

「昨年は正解が出た」
今年のⅯ-1 2020はその影響が如実に出ています。

一旦正解が出てしまったら、新しい正解を探さなきゃいけない。

方針転換。
全芸人さんたちが”新しい漫才”を探し始めたのだと思います。

ゆえに、Ⅿ-1 2020は革命です。2019年までの文化がぶっ壊れています。
いわば芸術が壊れた後の新しい芸術。地方物産展。文明開化。開国。黒船襲来。産業革命。そういうことが起きました。

結果、決勝出場の全10組。
同じ型の漫才がひとつもありません。
全部違います。でも、全部おもしろいです。

芸人さんはアーティストです。
「おもしろい」という言葉は一つなのに、お客さんをそこに運んでいく過程・手段は芸人さんの数だけあります。
本当にすごすぎます。

そして決勝戦を見た方へ。
是非、敗者復活戦も見てみてください。
驚きます。全員違います。

敗者復活戦を見た方へ。
準決勝を見てください。全員全然違います。

(2)漫才論争は期待値の違いが原因。「M-1 ≠ S(しゃべくり))-1」

今年の優勝はマジカルラブリーのお二人でした。すごい!

でも「あれは漫才じゃない」という漫才論争が起きているそうです。
ただ、論争と言っても実際には意見の対立は存在しない(?)ようなので、正しくは漫才論争というより”漫才に対する疑問符”と表現するのが適切でしょう。

ただ、プロの方は口をそろえて「あれは当然漫才だ」と言っています。
ゆえに疑問符の出どころは、お客さんです。

いやいやいや。
2つ聞いてからそれが言えますか。
芸人さんはこんなこと真面目に解説しないので、僕が解説します。

 ①Ⅿ-1の審査基準わかってない説

ホームページ見てください。審査基準が乗っています。
賞レースなんだから、当然ルールがあります。優勝の是非を論ずるのはこれを見てからにしてください。

なお審査基準はこれです。

「とにかくおもしろい漫才」

分解します。
要素は二つ。「とにかくおもしろい」「漫才」です。

A「漫才」
説明がわかりよいので、まず漫才とは何か。

僕はプロではないので、本の言葉を借ります。
すると、コントとの違いで書かれているものが多いです。そしてそこから読み解くと、とりあえずこれで問題ないと考えています。

漫才 = 「センターマイクがあって、名乗る」
コント = それ以外。

B「とにかくおもしろい」
これはいろんな基準がありますが、一番わかりやすいのは「その日、一番多くの量の笑いを取ること」だと思います。

したがって以上ABより、M-1のチャンピオンは、「決勝戦当日、漫才を披露して、最終的に一番多く笑いを取った人」です。
今回、それはマヂカルラブリーのお二人でした。すごい!

 ②見たかった漫才スタイルを見れなかった一部層が、ミスマッチを感じ「漫才じゃない」と文句を言ってる説

僕はそんなことありませんが、身の回りにこういう友人が何人かいました。

「しゃべくり漫才が好きだったのに今回のⅯ-1は少なかった」
「しゃべらない漫才とか歌ネタが多かった」
「もっと掛け合いが見たかった」

正直これに関して言えば、お客さんにも情状酌量の余地があります。

しゃべくり漫才が見れると思ったのに、亜種ばっかり出てきた。
確かに、「しゃべくり漫才が見たい!」と期待値を上げてから今回のM-1を見ると、期待と違うと感じるでしょう。
※「とにかくおもしろい漫才を見たい!」と思ってれば過去最高に楽しいです。

「お寿司食べたくて仕方ないときにショートケーキが出てくる」よりも、
「甘いケーキがとにかく食べたい!」ときのショートケーキのほうが、美味しいに決まってます。

これは顧客とサービス提供者のアンマッチが原因です。

そこで一つ提言です。
「しゃべくり-1グランプリ」通称「S-1」を別途開催してくれたらいいなって思います。
※無責任な個人の意見です

歌ネタ王、キングオブコント、THE W、R-1。色んな賞レースがあります。

コンセプトが明確なこれらの賞レースのメリット。
それは、お客さんが事前に適切な期待値を持つことができる点です。

世の中の「期待値調整」
そのためには賞レースのコンセプトを細分化が必要になってくるのかもしれません。

えらそうに言いましたが、何においても「相手のニーズをつかむことが大事」という話に落ち着くことにします。

(これでも現チャンピオンの漫才を「漫才じゃない」なんて言うようであれば僕はおこです)


(3)決勝戦ファイナルラウンドの三組はそれぞれの信じる“漫才の定義"をぶつけた

最終決戦ファイナルラウンドの三組は、最終投票でも2:2:3に票が割れる大激戦となりました。

それもそのはず。理由があります。
三組の芸人さんが、それぞれ「これがお笑いだ」と信じるものを、決勝戦にぶつけたからです。

例えば、「カツカレーと赤福と生ビール、一番おいしいのはどれ?」って聞かれたらどうしますか?

答えに窮すると思います。
だって、全部美味しいけど価値観は人それぞれ、タイミングだってそれぞれだから。

M-1 2020もこれと同じです。

■見取り図のお二人は「しゃべくり漫才」
これまで数々の芸人が脈々と育てて、腕を競い合ってきた王道の土俵です。いわばチームワークの結晶。

「料理はハーモニー。お寿司とお醤油とわさび。コーヒーとケーキ。ステーキに岩塩。ハンバーグとデミグラスソース。それぞれの個性が最高に合わさったとき、最高の料理が生まれる」ってスタイルです。

■おいでやすこがのお二人は「強い個性のぶつかり合い」
ヘーゲルの弁証法を彷彿とさせる漫才です。正と反から合が生まれる。強い個のぶつかり合いが為す化学反応。そのぶつかり合いこそおもしろい。

「お寿司とステーキ、メインディッシュ二つまとめて食ったら、そりゃ一番うめぇだろ!」ってスタイルです。

■マヂカルラブリーのお二人は「俺らの世界」
おもしろいのは俺らの表現する世界。俺らの漫才は、俺らの世界観は、とにかくおもしろいんだ。「この世界を見てみろ!」と言わんばかりの体当たり。

「これまでの料理の定石はとうに超えた。俺の作る料理こそ、新しい『料理』だ!」ってスタイルです。

どれが正解でもありません。唯一解なんてありません。
だってそれぞれ定義が違うんだから仕方ありません。

だからこそ歴史上稀に見る、票の割れ方になったと感じています。

3.最後に

うーん、自分1回戦敗退なくせに、こんなにしゃべってごめんなさい。

最後にもう一度。
芸人さんは神様です。本当にすごいです。

そしてさらにすごいのは、こんなに尊敬しているのに、その陰の努力とか見たり聞いたりするのに、それでも漫才を見ると、そんなこと頭から飛んでいって腹抱えて笑ってしまうからです。

はあすごい。かっこいい。神。

余談ですが、自分も皆さんみたいになりたいので、来年は2回戦進出頑張ります!

では。

≪ルール関連≫
発想:Ⅿ-1終わってから、書くなんて失礼だと思っていたけど、友人からのお声掛けをいただいて書くことにしました
作成:1月13日0時20分~2時07分 部屋 なんか、寝るのもったいないよねって。
参考:
自分のあたまの中のみ。
あと、Ⅿ-1 1回戦出たときの経験、苦労、から、勝ち抜く芸人さんの力を思い知った
考察、反省、感想:
・熱い
・口が悪い
・伝わってるかわからない
・でも、自分でやらないとなんかむなしいというかもどかしくなってきてしまうので、ただの批評文をかくのはあまり向いていないのだということを知った
・芸人さんはすごいなあ
・面白いモノを作る。の言葉を作るときには、お笑いの要素が多分に入ってる
・勢いで書ききりました 1009.
・1回戦敗退の身なのに、えらそうなことばかり言って本当にすみませんでした


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