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インスタントフィクション【とあるお水】



「え…?!これくれんの?これ…ずっと探しとったねん…。どこで見つけてきたん?え、普通に地元に売っとった?最高な地元やな…


これな、お兄ちゃんが唯一あたしにくれた銘柄や
ねん。


小さい時、水とか味せぇへんし何が美味しいねんて思っとったけど、お兄ちゃんが転けたあたしに買うてくれたこの水だけは、めっちゃ美味しかったんよな…


他のことあんまり覚えてないねんけど、これだけは覚えてて。

あ、お兄ちゃん2年前に死んでもうてん。
やから、もう一回飲みたいなぁってずっと、ずっとスーパー行くたびに探しとった。



でも不思議やねんけど、探してるのに、見つかってほしくないとも思うとったから、正直今、100%は喜んでへんわ。笑
でも、ほんまありがとう。大事に飲むわ。」




「…はい。OK。」


「え、これでよかったですか?ほんまに?面白かったですか?もっと…」



とある劇団の、とある女性の、とある即興芝居でございました。



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