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ビートルズのUS盤を再現するプレイリスト

どうもかしまさです。

ビートルズの作品に詳しくなってくると、「ビートルズのアルバム」と言ったときに
文脈によって様々な解釈ができることが段々分かりますよね。
ビートルズのメンバーが制作した「オリジナルアルバム」なのか、
解散後に発表された「ベストアルバム」なのか、
あるいは非公式にリリースされた「海賊盤」なのか……。
本当に「ビートルズのアルバム」はたくさんあります。

そこで、今回はビートルズのアルバムの中から
「US編集盤」に注目してみたいと思います。
ビートルズの活動中に公式にリリースされているものの、
今からビートルズを聴こうという人には見過ごされがちだと思うので。

US編集盤とは?

1962年のデビューから1970年の解散までの間に
ビートルズは12作のオリジナルアルバムを発表しました。
そして1963年以降、ビートルズの人気はイギリス国内に留まらず、
大きなマーケットであるアメリカにも飛び火していきます。
しかし、 当時のアメリカにあったレコード作りの慣習や会社の方針などで、
UKオリジナルアルバムをそのままリリースすることはせず、
曲を減らしたり、入れ替えたり、タイトルやジャケットを変えたり
独自に編集したものが発売されていました。
そういったものがUS編集盤と呼ばれていて、
その枚数はUKオリジナルの枚数を上回って15枚もあるんです。

ビートルズのメンバーはそういうアメリカのレコード会社のやり方に
どうやら不満を持っていたらしいんですよね。
編集の都合でUKの最新作より前にUS盤に新曲が収録されてしまったり、
曲順もかなり大きく変えられてしまったものもありますし。

当時のアメリカ人が聴いていたものを聴いてみたい

そんな「US編集盤」を聴いてみようと思ったら、
当時流通していた中古のレコードを入手するのが常道です。
しかしレコードプレーヤーも持っていないし、
オリジナルとの差異がどうのというのを聴き比べたいのでなければ
わざわざ入手して聴くほどのものではないような気もします。
と、言うわけで。
UKオリジナルアルバムの収録曲を使ってプレイリストを作り
当時のアメリカ人が聴いていた「アルバムの流れ」だけでも
体感してみようというのが今回の企画です。

用意するもの

  • ビートルズのUKオリジナルアルバム12作品

  • Past Masters

この13作品が手元にあれば、US盤の曲の並びを再現することができます。
あくまで「曲の並び」だけね。
バージョン違いとかそういうのはひとまず無視で。

順番に再現してみます

Introducing... The Beatles

1963/7/22リリース
ビートルズのアメリカでのデビューアルバム。
アメリカでのビートルズの作品は
「キャピトル」というレコード会社が主に販売していたのですが、
アメリカ国内でブレイクするか懐疑的だったキャピトルは契約に合意せず、
「Vee-Jay Records」というマイナーレーベルから発売されました。
以下、曲目です。

  1. "I Saw Her Standing There" #1

  2. "Misery" #2

  3. "Anna (Go to Him)" #3

  4. "Chains" #4

  5. "Boys" #5

  6. "Love Me Do" #8

  7. "P.S. I Love You" #9

  8. "Baby It's You" #10

  9. "Do You Want to Know a Secret" #11

  10. "A Taste of Honey" #12

  11. "There's a Place" #13

  12. "Twist and Shout" #14

total time 27:39
※トラックのみ表記は「Please Please Me」収録曲。

「Please Please Me」から6曲目の「Ask Me Why」と
7曲目の「Please Please Me」が削られただけのラインナップです。
アルバムのオープニングナンバーである「I saw her standing there」は最初のカウントが切れてしまっていて、
いきなり「4!」から始まるらしい。
まー、作りがいい加減と言わざるを得ない。
プレイリストを作って再現するほどでもないかもしれない。

Meet The Beatles!

1964/1/20リリース
ビートルズのアメリカでのブレイクを目の当たりにして
ようやくCapitolから発売された2枚目のアルバム。
「With The Beatles」をベースに、
既発シングル曲なども織り交ぜた内容。
(どうしてもUSではシングル曲を収録したかったみたいですね)

  1. "I Want to Hold Your Hand" (Past Masters 1 #6)

  2. "I Saw Her Standing There" (Please Please Me #7)

  3. "This Boy" (Past Masters 1 #7)

  4. "It Won't Be Long" #1

  5. "All I've Got to Do" #2

  6. "All My Loving" #3

  7. "Don't Bother Me" #4

  8. "Little Child" #5

  9. "Till There Was You" #6

  10. "Hold Me Tight" #9

  11. "I Wanna Be Your Man" #11

  12. "Not a Second Time" #13

total time 26:43
※トラックのみ表記は「With The Beatles」収録曲。
見方を変えれば、これ1枚で「大人気新人バンド」ビートルズの
魅力を一気に楽しめると言えなくもない……かなぁ。

The Beatles' Second Album

1964/4/10リリース
セカンドアルバムってタイトルだけど3枚目のアルバム。
前作に漏れた「With The Beatles」収録曲と
シングル曲やカップリング曲で構成されています。

  1. "Roll Over Beethoven" #8

  2. "Thank You Girl" (Past Masters 1 #3)

  3. "You Really Got a Hold on Me" #10

  4. "Devil in Her Heart" #12

  5. "Money (That's What I Want)" #14

  6. "You Can't Do That" (A Hard Day's Night #12)

  7. "Long Tall Sally" (Past Masters 1 #10)

  8. "I Call Your Name" (Past Masters 1 #11)

  9. "Please Mr. Postman" #7

  10. "I'll Get You" (Past Masters 1 #5)

  11. "She Loves You" (Past Masters 1 #4)

※トラックのみ表記は「With The Beatles」収録曲。
それにしても、前作から3ヶ月経ってないうちにリリースされてるのな。
確かに水増しと言われても仕方ない。w

A Hard Day's Night

1964/6/26リリース
UK盤よりちょっとだけ先行しています。

  1. "A Hard Day's Night" #1

  2. "Tell Me Why" #6

  3. "I'll Cry Instead" #9

  4. "I Should Have Known Better" (instrumental)

  5. "I'm Happy Just to Dance with You" #4

  6. "And I Love Her" (instrumental)

  7. "I Should Have Known Better" #2

  8. "If I Fell" #3

  9. "And I Love Her" #5

  10. "Ringo's Theme (This Boy)" (instrumental)

  11. "Can't Buy Me Love" #7

  12. "A Hard Day's Night" (instrumental)

total time 29:21
UK盤とタイトルこそ同じですが内容は全く違います。
オリジナルから曲数を減らし、
その分劇伴のインストゥルメンタルが収録された
純粋な「映画のサントラ」として制作されています。
インストゥルメンタルを聴こうと思ったらUS盤を入手するしかない。

Something New

1964/7/20リリース
「A Hard Day's Night」に漏れたオリジナル曲と既発曲で構成。
面白いのは「抱きしめたい」のドイツ語版がなぜだか収録されています。

  1. "I'll Cry Instead" #9

  2. "Things We Said Today" #10

  3. "Any Time at All" #8

  4. "When I Get Home" #11

  5. "Slow Down" (Past Masters 1 #12)

  6. "Matchbox" (Past Masters 1 #13)

  7. "Tell Me Why" #6

  8. "And I Love Her" #5

  9. "I'm Happy Just to Dance with You" #4

  10. "If I Fell" #3

  11. "Komm, Gib Mir Deine Hand" (Past Masters 1 #8)

total time 24:47
※トラックのみ表記は「A Hard Day's Night」収録曲。

The Beatles' Story

1964/11/23リリース
total time 49:22
こればかりはオリジナルアルバムの曲では再現できません
というのも、デビューからアメリカでのブレイクまでをまとめた
ドキュメンタリーなのです。
当初「ここいらでライヴアルバム出そうぜ」という計画だったのが、
観客があまりにもキャーキャーうるさすぎて
レコードにできなかったという話を聴いたことがあります。
(そのライヴアルバムは1977年になってからやっと発売されました)
聴きたきゃ入手するしかない。英語が分からないと楽しめないと思うけどね。

Beatles '65

1964/12/15リリース
「Beatles For Sale」をベースに、収録漏れの既発アルバム曲と
シングル曲で構成されています。

  1. "No Reply" #1

  2. "I'm a Loser" #2

  3. "Baby's in Black" #3

  4. "Rock and Roll Music" #4

  5. "I'll Follow the Sun" #5

  6. "Mr. Moonlight" #6

  7. "Honey Don't" #10

  8. "I'll Be Back" (A Hard Day's Night #13)

  9. "She's a Woman" (Past Masters 1 #15)

  10. "I Feel Fine" (Past Masters 1 #14)

  11. "Everybody's Trying to Be My Baby" #14

total time 26:10
※トラックのみ表記は「Beatles For Sale」収録曲。
というか、1964年だけでアメリカ国内では
6枚もビートルズのアルバムが出たんですね。すごいペースだ。

The Early Beatles

1965/3/22リリース

  1. "Love Me Do" #8

  2. "Twist and Shout" #14

  3. "Anna (Go to Him)" #3

  4. "Chains" #4

  5. "Boys" #5

  6. "Ask Me Why" #6

  7. "Please Please Me" #7

  8. "P.S. I Love You" #9

  9. "Baby It's You" #10

  10. "A Taste of Honey" #12

  11. "Do You Want to Know a Secret" #11

total time 26:26
※トラックのみ表記は「Please Please Me」収録曲。
Vee-Jay Recordsとビートルズの契約が切れたのに伴い、
「Please Please Me」収録の内容でCapitolが発売したアルバム。

Beatles VI

1965/6/14リリース

  1. "Kansas City"/"Hey, Hey, Hey, Hey" #7

  2. "Eight Days a Week" #8

  3. "You Like Me Too Much" (Help! #10)

  4. "Bad Boy" (Past Masters 1 #16)

  5. "I Don't Want to Spoil the Party" #12

  6. "Words of Love" #9

  7. "What You're Doing" #13

  8. "Yes It Is" (Past Masters 1 #17)

  9. "Dizzy Miss Lizzy" (Help! #14)

  10. "Tell Me What You See" (Help! #11)

  11. "Every Little Thing" #11

total time 27:45
※トラックのみ表記は「Beatles For Sale」収録曲。
「Beatles For Sale」をベースに、既発の曲、
更にはまだUKでリリースされる前の「Help!」の曲まで
先駆けてリリースしちゃってる。

Help!

1965/8/13リリース

  1. "Help!" #1※

  2. "The Night Before" #2

  3. "From Me to You Fantasy" (instrumental)

  4. "You've Got to Hide Your Love Away" #3

  5. "I Need You" #4

  6. "In the Tyrol" (instrumental)

  7. "Another Girl" #5

  8. "Another Hard Day's Night" (instrumental)

  9. "Ticket to Ride" #7

  10. "The Bitter End/You Can't Do That" (instrumental)

  11. "You're Gonna Lose That Girl" #6

  12. "The Chase" (instrumental)

total time 28:48
※「Help!」は独自のイントロが付加されたバージョン。
「A Hard Day's Night」同様、純粋に映画のサントラとして構成されています。
よってインストゥルメンタルはこのアルバムでないと聞けません。

Rubber Soul

1965/12/6リリース

  1. "I've Just Seen a Face" (Help! #12)

  2. "Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" #2

  3. "You Won't See Me" #3

  4. "Think for Yourself" #5

  5. "The Word" #6

  6. "Michelle" #7

  7. "It's Only Love" (Help! #9)

  8. "Girl" #9

  9. "I'm Looking Through You" #10

  10. "In My Life" #11

  11. "Wait" #12

  12. "Run for Your Life" #14

total time 28:55
UKオリジナルの「Rubber Soul」と
ようやくジャケット写真が統一されました。
しかし前作までの収録漏れ曲などがあるので
やはり内容は独自に編集されています。

Yesterday and Today

1966/6/20リリース

  1. "Drive My Car" (Rubber Soul #1)

  2. "I'm Only Sleeping" (Revolver #3)

  3. "Nowhere Man" (Rubber Soul #4)

  4. "Doctor Robert" (Revolver #11)

  5. "Yesterday" (Help! #13)

  6. "Act Naturally" (Help! #8)

  7. "And Your Bird Can Sing" (Revolver #9)

  8. "If I Needed Someone" (Rubber Soul #13)

  9. "We Can Work It Out" (Past Masters 2 #2)

  10. "What Goes On" (Rubber Soul #8)

  11. "Day Tripper" (Past Masters 2 #1)

total time 27:33
「Rubber Soul」「Revolver」の内容をミックスしたようなアルバム。
中期ビートルズ好きならこの順番で聴いてみる価値はあるかも。
てか、またしてもRevolverの曲をUKに先駆けて収録しちゃってる。

このアルバムは内容よりもジャケットの方が有名かもしれない。
通称「ブッチャーカバー」と呼ばれる、
ビートルズのメンバーが白衣を着て、
生肉やバラバラになった赤ちゃんの人形と一緒に写っている
キモいジャケットが当初作られていました。
勝手に編集盤を作るレコード会社への反抗だったとかいう噂。
当然、非難轟々だったのですぐに差し替えになったのですが、
ごく少数流通してしまったものが今では超高値で取引されているそうです。

ネットで検索するとブッチャーカバーの画像はすぐに出てきます。
リンゴがあからさまに嫌そうな顔してる。

Revolver

1966/8/8リリース

  1. "Taxman" #1

  2. "Eleanor Rigby" #2

  3. "Love You To" #4

  4. "Here, There and Everywhere" #5

  5. "Yellow Submarine" #6

  6. "She Said She Said" #7

  7. "Good Day Sunshine" #8

  8. "For No One" #10

  9. "I Want to Tell You" #12

  10. "Got to Get You into My Life" #13

  11. "Tomorrow Never Knows" #14

total time 27:47
このアルバムまでで一旦「US編集盤」は一区切りになります。
既に編集盤に収録されていたジョンの曲が3曲削られていますが、
シングル曲を足すこともなく、
ただ「足りてない」だけになったアルバム。

Magical Mystery Tour

これは、もう、買おう
US編集盤で唯一公式扱いされていますので。

既に記事を書いています

Hey Jude

1970/2/26リリース

  1. Can't Buy Me Love

  2. I Should Have Known Better

  3. Paperback Writer

  4. Rain

  5. Lady Madonna

  6. Revolution

  7. Hey Jude

  8. Old Brown Shoe

  9. Don't Let Me Down

  10. The Ballad Of John And Yoko

total time 32:24
Capitolとの契約でアルバムをもう1枚作る必要が出てきたんだけど
もう1枚作る気力はないのでとこしらえられたコンピ盤。
アルバムに収録されなかったシングル曲なんかが中心になっていますが、
ベスト盤というほど網羅もしていないし、
古いものから新しいものまで混在していてなんとも中途半端なアルバム。

新たな気持ちでビートルズと出会おう

ってことで、長々と書いてまいりました。
曲目を調べているうちに、
「この順番で並べて聴くことに何の意味があるんだろうか」
的な気持ちにもなりましたが、
何度も聴いたアルバムも並び替えて聴くことで、
もしかすると新たな発見があるかもしれません。
少なくとも「Yesterday and Today」は
個人的にちょっと聴いてみたくなるラインナップだと思いました。

いつかUS BOXなんかを入手することがあれば、
再現プレイリストと実際のUS盤の違いなんかもまとめてみたいと思います。
多分入手しないと思いますが

それでは、かしまさでしたー。

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