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大西健丞さん、上島町へ交付金返納を!PWJ支援の条例運用に「疑義」と課長が議会答弁

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)、NPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、広島県神石高原町、大西健丞理事長)は、地元の神石高原町はもちろん、愛媛県上島町でも「ふるさと納税」の交付金を受けています。

交付金を二股受給

 しかし、昨年12月に開催された上島町議会では、「ふるさと納税」所管の総務課長がPWJなどを支援対象として認定していることは条例上疑義があると答弁していました。つい最近、議事録がインターネット上で公開されました。

 条例を読めば、本部が広島県にある上記2団体は資格要件を満たさないことは明らかです。大西健丞氏らPWJ幹部もわかっていたのではないでしょうか?

 PWJやSAPFは町当局の条例の恣意的な解釈や不適切な運用によってもたらされた寄付金収入(交付金)を自主的に返納してはどうでしょう。

 総務省によれば、昨春の「ふるさと納税」見直し後もそれぞれの自治体の判断で支援するNPOを決定できるので、複数の自治体から交付金を受け取る「二股受給」自体は違法ではありません。

 しかし、問題は自治体側の認定根拠です。

「主たる事務所」の要件満たさず

 「ふるさと納税」で集める寄付金の使い方は条例で決めるようになっています。愛媛県上島町の場合、支援対象のNPOは町内に主たる事務所、つまり本部を置く団体と明記しています。

 大西健丞氏が代表を務めるPWJ、SAPFは本部が神石高原町にあります。従って上島町の「ふるさと納税」を利用する資格を持たないのです。

 この問題は昨年秋にも調べてnoteで紹介したことがあります。

 筆者が問い合わせたところ、上島町総務課は「登記上、主たる事務所がないことを承知しているが、町内で活動しているので、主たる事務所がある団体とみなしている」と回答していました。

 ところが町議会のホームページで公開された議事録を読むと、ふるさと納税を担当する総務課長が議会答弁で、条例の運用の仕方に疑義を感じて、PWJなどとも協議をしていることを明らかにしていました。

 町長の「特認」事業にすれば、条例上の問題も解消できるはずですが、町長答弁などから推測すると、上島町は事務所を現地に置くようPWJなどに働きかけて問題を解決しようとしているようです。

 しかし、主たる事務所は1つです。事務所の所在地を認定根拠とする限り、問題は残ります。質問した議員が言うように事務所の所在地にこだわるなら条例改正も必要になることでしょう。

 過去の議事録を読んでみても、議会でこの問題を追及するのは共産党くらいのようです。住民自身がもっと厳しくチェックする必要がありそうです。

■上島町議会議事録より抜粋

 以下は2019年(令和元年)12月11日開催の愛媛県上島町議会の会議録からの抜粋です。やり取りの趣旨を損なわない範囲で要約、補足しています。

○寺下滿憲(日本共産党)
(ふるさと納税交付団体・事業は)上島町ふるさと応援条例事業等区分第2条(4)の 町内自治会への支援、(5)町内に主たる事務所を置く非営利活動法人の支援、(6)その他町長が必要と認める事業となっていますが、(4)(5)(6)の取扱いを今回は、どのようにいたしましたか?

○中辻洋総務課長
今年度、従前より運用しております『ふるさとチョイス』に加えまして、『さとふる』でも ふるさと納税を受け付けることにいたしました。
 事業区分(4)から(6)までの取扱いにつきましては、昨年までと同様で、 変更はございません。
 ふるさと納税の実績等ですが、「(4)町内自治会への支援」については実績はありません。「(5)の特定非営利活動法人の支援」につきましては、4団体に対して、7 件、355万7千円の寄附を受け付けております。「(6)その他町長が必要と認める事業」 につきましては、現在、上島町ゆめしま奨学金をその事業としておりまして、27件、41 万円の寄附を受け付けております。
(4)から(6)の合計は34件、396万7千円でございます。

○寺下滿憲議員
 「前年度同様の認定をいたした」ということでありますが、ピースウィンズ・ジャパンがここで認定をされておるわけでありますが、いわゆる被災地の 離島の子供たちに国際的な交流とか、国内外の被災地の子供たちに学ぶ経験をするプロジェ クト、同じような瀬戸内のアートプラザホーム(注、瀬戸内アートプラットフォーム)、いわゆる美術館ですね。この(注、NPOを交付先とする)認定をどのような形で町はしているのか。どう捉え方をしているのか。

○中辻洋総務課長
 ピースウィンズ・ジャパンがこういう活動をしたいという事で、クラウドファンディングを 設定する、そのプロジェクトが先ほど議員が仰った、いろいろなプロジェクトという事で、 一つひとつがプロジェクトになっております。
 ピースウィンズ・ジャパンを現在、上島町でそういったふるさと納税の対象として認定しておりますので、そこが実施するクラウドファンディングにつきましても、 そういった事で受け付けるという対応で行っております。

○寺下滿憲議員
 ピースウィンズ・ジャパンが、いわゆる、ここの認定団体に入ったわけでありますが、ふるさと納税支援事業の条例の2条の5のいわゆる主たる事務所ね、このピース・ジャパン、どこに置いているのか。この点については、どうなんですか。

○中辻洋総務課長
 条例第2条の(5)、この部分につきまして、主管課である総務課としても、ちょっと私が来まして疑義がございまして、団体の方に確認等行っております。それで協議を行いつつ、今のところは認定を続けているというところでございます。

○寺下滿憲議員
 認定に疑義が出ている段階で、それを継続していく、そういう事が分からないんですね。 いわゆる、このピース・ジャパンは、主たる事務所は広島県の神石高原町にあるんですね。 これ、他のいわゆるプロジェクトにしても、事務所が従たる事務所として、履歴から見ても 証明書などを繰ってみると、やはりここには事務所がないんですね。
 疑義が出ている段階で物事を考えていかなくてはならないのでは ないかと私は思うんですね。そして、こういった形で、ふるさと納税、取り入れる時に新聞報道等で(新聞の写しを見せる)報道されたんですね。国際的人材を島で育てる言うて、グ ローバル高校を豊島に設立する。寄付金でもって、芸術活動を活かす豊島にしていく。この ような事が謳われて、ふるさと納税をここに活用することにしたわけでありますが、いわゆ る、ふるさと納税の寄付金は上島町の一般会計に繰り入れられ、いわゆる公金として出ていくわけなんですね。行政はふるさと納税をしてくれた人たち の善意や気持ちをどう受け取っているのか。
 実際、20年、グローバル高校、豊島に開校と謳われているけれども、じゃあ、実際、来年度開校できるのか。ふるさと納税の支援したことによって、その報告等が上島 町に報告されているのか?

○中辻洋総務課長
 クラウドファンディングの実績報告につきまして、この例規どおりで、実績報告はいただいております。スクールの設立につきましては、団体の財務状況によりまして、 若干計画のペースが遅れているという事でホームページ等にも事実上凍結せざるを得ないというような文面もホームページで見受けられました。総務課といたしましても確認はいたしましたが、財務状況で 遅れておりますが、資金調達が出来次第、進める方向であるという事はお聞きしております。

○寺下滿憲議員
 町長自身、この事について、どのように思わ れますか。1年前の12月議会では、いわゆるピース・ジャパンについて、町長は高い評価をしておったわけでありますが、1年経って、今、こういうピースウィンズ・ジャパ ンの活動を見ていく中で、町長自体どのような評価になっていったのか、その点について。

○宮脇馨町長
 私のピースウィンズ・ジャパンに対する評価は、何ら変わっておりません。この団体は、 まあ基本はNGOとして、先日亡くなった中村哲さんのような動きをされる団体だと認識しております。国際紛争とか、そういった飢餓とか、そういった現場に出かけて行って、 まあ緊急援助の医療を行うという、それが基本でありまして、それでまあ、そういったとこ ろへ行く間と言いますか、その国内でのそういった活動をまあ維持していくというか、そういった事でアートプロジェクトであったり、教育関係であったり、そういった事にも取り組んでいきたいと。そういう趣旨を聞いておりますので、それは社会的にも素晴らしい事だと思っております。ただ、それを実現していくためには。やっぱり、そういった経済的な支援は当然必要になって参りますので、それを実行していくためのいろんな障害等は当然ございますし、そういった中で、まあ、そういう事を掲げてやられること事態に対しては、素晴らしい事だと思っております。
 ただ、先ほど、総務課長の方からありましたように、経済環境とかですね、そういったものはかなり厳しいものはございまして、クラウドファンディングも中々今の現在の日本では寄付文化が根付いてない部分がございまして、資金調達に中々厳しい面があるという事もお聞きしております。
 この団体の動きに対して、妨害行為みたいなのもあるという事も聞いております。まあ、そういった事も含めまして、トータルで考えて、もう少しロングスパンで、こういった活動は見ていく必要があるんではないかと思っておりますので。今、この段階で、これはおかしんじゃないかという、そういう感覚は全然持っておりませんし、まあ活動の拠点を全国的に見ても、各支部で行っている部分というか、それを認定していただいている部分もございますので、上島町にも支部を開設する形で本格的に取り組んでほしいということ は要請していこうと思っております

○寺下 滿憲議員
 町長が相変わらず高い評価をしているわけでありますが、この団体、上島町からもふるさと納税いただいておるし、広島県の神石高原町からもいただいておる。 そして、佐賀県の方でもいただいている。元々の、この前身は、豊島に入ってきたのは風の音舎として、ゲストハウスを建設して、そこから上島町との関りを持ったわけでありますが、風の音舎は破産(注、破産はせず、社名と本社を変更し、観光事業から撤退)いたして、その後、ピースウィンズ・ジャパンになったわけであります。ちょっとどうかなあ、眉唾(まゆつば)という感は否めないところがあるんですね。 私の評価と町長の評価、全然違うけれども、上島町には、条例があるのでね、先ほども課長が言われていましたが、疑義があったという事なんでね、この条例を見直す機会でもあるんじゃないか。疑義を感じるならば、疑義のないように、主たる事務所というのを主を除ければ、それは条例に照らし合わせてみても疑義はなくなるんですね。そして、条例にきちっと、その団体からの使い道の報告を受け、きちっと議会に報告する。そういったもの を条例の中に付け加えていく。こうする事によって、疑う事もなくなるし、きちっとした目 を光らせて管理監督することができるのではないか。
このように思いますけど、町長、この条例の扱い方を今後どうしていきますか。

○宮脇馨町長
 条例等の文言につきましては、他の公共団体とか、上位団体との取り扱いもございますので、そちらの方とも精査しながら、どういうふうに変えるべきか、この現状でやるとしたら運営をどういうふうに取り扱いをしたらいいのか。それを含めまして、再度検 討させていただきたいと思います。

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