もう一つ不思議なピースワンコ収支報告「一般管理費」の謎

 ふるさと納税の寄付金を使ってNPOに交付金を支給している広島県神石高原町のホームページでは、各年度の実績が開示されています。

 その中でNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)への支給額は例年断トツに大きく、2018 年度は4億9113万円もありました。

 PWJでは、ふるさと納税やサポーター制度で寄付を募る際に「寄付額の最大15%を事務所の管理運営費や広報、提言活動のための費用に活用させていただいています」と説明しています。一般管理費です。

 町からもらうふるさと納税交付金のほか、独自に集めた犬保護事業の寄付が6億1630万円ありますから、合計およそ11億円の15%を一般管理費ととしてPWJのポケットにリザーブするというわけです。

 神石高原町のサイトを経由して閲覧できるピースワンコ会計報告では、2018 年度一般管理費は1億4465万円でした。寄付・交付金の13%程度で枠内に収まっています。

 しかし、不思議なところが3点あります。

 1点目は、広報業務や管理業務などの外注費がそれとは別に4473万円も計上されていて、単純合計すると15%枠を突破するのではないかという疑問です。さらに付け加えれば、図書費、会議費など「その他事務管理費用」も1億8689万円あり、一般管理費との違いがよくわかりません。

 2点目は、2018 年度のこの一般管理費の金額は、PWJ全体の事業部門別の収支報告のうちワンコ部門の経常黒字額とピタリ一致することです。PWJホームページ等でも閲覧できるこの収支報告は、各事業部門とは別に管理部門の収支も記載されています。

 つまりピースワンコの一般管理費とは、いろいろ必要な支出をした後の残りの「もうけ」という見方もできるのかもしれません。PWJの定義をもっと詳しくわかりやすく、目立つ場所に掲げてもらいたいと思わずにはいられません。

 3点目は2番目とも重なりますが、2017年度は一般管理費の計上がゼロとなっているところです。事業別収支はワンコ部門で3億円を超す黒字になっているのですが、一般管理費への配分はないということなのでしょうか?

 目立つのは1億9千万円もの広告宣伝費と6千万円近い外注費です。一般管理費に該当する支出は本当にゼロなのでしょうか? 

 PWJにふるさと納税の交付金を渡している神石高原町などに問い合わせてみて、回答があれば、これらの数字の読み方を改めてご紹介します。NPOの会計、なかなか奥が深そうです。

 

 

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