公益法人Civic Forceでも「週3日以上勤務」と内閣府に報告する大西健丞ピースウィンズ・ジャパン代表理事

1、唯一の常勤理事

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の2019年1月期決算で、3億円もの資金をPWJに貸し付けていた公益社団法人Civic Force(シビックフォース、東京都渋谷区、大西健丞代表理事)のことを調べていて、不思議なことに気が付きました。

 所轄官庁である内閣府にCivic Forceが提出した報告書によると、3人いる理事のうち代表理事の大西氏だけが「常勤」の理事となっているのです。

 内閣府の「定期提出書類の手引き(公益法人編)」によると、役員の常勤・非常勤の欄には「最低でも週3日以上出勤する者」は「常勤」、それ未満の者は「非常勤」として記載することになっています。

 つまり、書類上はPWJの本部がある広島県神石高原町に自宅がある大西健丞氏は、毎週のように東京へ通って、週3日以上、Civic Forceで仕事をしているはずなのです。Civic Forceの事務所はPWJの東京事務所と同じ場所にあるのですが、大西氏はそこで大半の時間を過ごしているのでしょうか?

2、「いつ来るかわからない」

 前述の3億円をPWJに貸し付けた件で、筆者は何度もCivic Forceに電話をしましたが、大西氏がいたことはありません。電話を受けた女性スタッフが言うには、事務局長を含めて遠隔地で仕事をしているとのことで、大西代表理事がいつ事務所に来るかわからない、と言っていました。

 Civic Forceの役員報酬規程によると、役員報酬は月額10万円から同165万円まで32段階に分かれていて、代表理事が理事会の承認を経て決定することになっています。また、非常勤の監事報酬は月額10万円と規程に明記しています。

 最新の2019年8月期の決算書(正味財産増減計算書)によると、役員報酬は事業部門755万円、管理部門145万円のあわせて年間900万円です。このうち大西健丞代表理事がいくらの配分を受けているかは不明ですが、唯一の常勤役員であることを考えると、半分以上を受け取っていても不思議ではありません。

 問題は広島県在住で、最寄りの空港、新幹線駅を利用するにも片道1時間以上かかる山間部に住み、そこに本部を置くピースウィンズ・ジャパンの代表理事として、数千頭の保護犬の世話をする活動(ピースワンコ事業)にも目配りしなければなりません。

 また、大西氏は本部を神石高原町から愛媛県上島町の離島に移転させるNPO法人瀬戸内アートプラットフォームでは理事長、佐賀県佐賀市に本部を置くNPO法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)でも代表理事を務めていています。

 田舎に住んでいるうえ、九州や瀬戸内海の離島のNPOの代表も兼務していて、内閣府への報告通り、東京にある公益社団法人Civic Force常勤理事として週3日以上の勤務実態があるのでしょうか?

 そもそも大西健丞氏は、PWJの代表理事として、年間1440万円から1600万円に相当する報酬を受け取っています。NPO理事としての報酬はゼロですが、担当業務に応じた仕事に対する給与です。

 その金額からすれば、PWJが主な勤務先であることは疑いがありません。Civic Forceでも常勤として働いている実態があるのか大いに疑問です。

3、事務局長も実際は佐賀市に駐在?

 Civic Force事務局長としてホームページでも紹介されている根木佳織氏は、佐賀市のA-PADの事務局長でもあって、Civic Forceに問い合わせた時、ふだんは佐賀に勤務していると聞いたことがあります。

 Civic Forceの「役員報酬」の額は年間900万円程度でかわらないのに、「給料手当」の額は、2018年8月期は240万円弱、19年8月期は1700万円強、そして20年8月期(予算)は680万円程度と、年によって大きく違います。

 役員報酬に比べて給料は相対的に少ないともいえ、活動の実態は別の機関に業務を委託することが中心になっているのかもしれません。2019年8月期の実績をみると、事業費1億800万円のうち役員報酬755万円、給料手当1667万円に対し、業務委託費が3346万円にのぼっています。

 Civic Forceの貸借対照表によると、2019年8月末現在の正味財産合計額は3億9766万円に過ぎません。東日本大震災などの支援目的で集まった寄付金がもとになっていますが、年々取り崩してきているからです。

4、特定資産をPWJに貸し付け

 しかもそのうち3億5288万円は特定資産に区分され、災害支援や奨学金などの目的に使うことを限定したおカネです。代表理事の大西健丞氏は浄財からなるCivic Forceの貴重な財産から3億円もの大金を、銀行からの新規借り入れが難しくなったNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)に貸し付けていたのです。

 いくつもの団体の代表を務める人物が、傘下の団体のお金を右から左へと動かすことはきわめて危険な取引だと思います。

 そもそも特定の目的に賛同してお金を寄付した人たちにいったいどう説明するつもりでしょう?

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