見出し画像

上限「15頭」が一人歩きする環境省犬猫数値規制⑤大規模なブリーダーの効率は高い?官民で緻密な検証が必要


最大で成犬600頭飼養のブリーダーも

 繁殖業者(ブリーダー)が1人あたり犬猫飼養頭数制限に関して環境省に送ったFAXの集計データの正しさを保証するものはありません。シリーズ④で説明した通りです。これから紹介するのは単なる参考情報です。あくまでそのような可能性がある、という程度の情報として受け取ってください。

画像1

 1人あたりの飼養頭数と全体飼養頭数(犬のみ飼養の業者)というグラフをみてみましょう。猫も飼っているという業者を外して犬専業のブリーダーは48事業者でした。

 この場限りの環境省の「1人あたり15頭」(成犬、繁殖リタイア組含む)という基準で線引きをすると、その左側におさまるのは29業者でした。(6割に該当しますが、これは環境省令の基準とは異なるのでその割合に意味はまったくありません)

 この分析の「基準」におさまる業者の飼養頭数は少ないもので9頭、多いところで109頭、平均すると88頭ということです。

 基準外については説明がありませんが、家族3人、スタッフ6人で合計600頭(1人あたり66.7頭)の成犬を飼っているブリーダーが全体飼養頭数、1人あたりの飼養頭数とも最大です。

規模が大きいほど1人あたり飼養頭数増の傾向

 分布は、全体として右肩上がりの傾向、つまり、全体飼養頭数が大きくなるほど、1人あたりの飼養頭数も増えていることがわかります。

 大規模になるほど飼養効率が高くなることは牛豚、鶏など畜産業の現状をみてもわかることですが、愛玩動物である犬猫を繁殖させる施設でも同じようなことが当てはまるのかどうかは、慎重に検討しなければなりません。スタッフの専門性、設備の効率性、立地環境など多くの要因が関係してくると思われます。

 一般の民家で繁殖させる人もいれば、広大な敷地を使ってのびのび犬を繁殖させたいと考える人もいるでしょう。身動きもとれないくらいの犬舎に押し込んで、ただただ交配を続けさせる業者たちも隠れ潜んでいることでしょう。

 数値そのものは目安として大切かも知れませんが、もし、必須の要件とするのなら、最初は緩やかなところから始めて、落ち着きどころを探る知恵も必要かもしれません。環境省と業界が協力して解き明かしていって欲しいですね。

画像2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?