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教えて大西さん、ピースワンコのこと⑮いちいち湯崎英彦知事にかけあう問題ですか?PWJ大西健丞氏らの「勘違い」

1、知事に話したが協力してくれない?

 「ピースワンコジャパン立入調査(汚染排水問題)について」(2018年12月3日、動物愛護センター作成)という文書に始まる50枚の情報公開文書を読んでいて、「おやまあ」とあきれた箇所が1つあります。

 「一年前に県庁部長に狂犬病予防法が間に合わない旨を相談した。その後知事にも話させていただいたが、今まで県より協力は得られていない」

 2019年1月8日、新年早々にピースワンコの運営団体、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)を訪問した広島県動物愛護センター・菊池指導課長にPWJ職員が浴びせた言葉です。

 発言者の名前は伏せられていますが、大西さん、いったい誰がこんなことを、働き者で前途有望な女性課長(現在は広島県健康福祉局食品生活衛生課長)に言ってしまったのですか?お世話になっているお仲間みんなから「バチあたり」と叱られますよ。

 私が危惧するのは、PWJのこんな体質、何かあると現場の頭越しに偉い人にかけあったり、偉い人とのコネを使って物事を動かそうとしたりする「勘違い」体質です。

2、町議会で町長が指導を約束

 PWJが提出した神石高原町ふるさと応援寄付金活用報告書には、2019年度(2019年2月~2020年1月)の活動の一部として以下のような説明があります。

 「頭数を一定以下に保つとことで、犬にとって望ましい環境を維持し、飼育スタッフの心身の健康にも配慮する。また、廃棄物の処理や排水など、周辺環境への影響も考えたシェルター運営に努め、地域住民とのトラブルが起きないようにする

廃棄物処理、排水問題というのは、もう3年近く前、2017年9月から神石高原町議会で問題になっていました。PWJが本部とは別に大規模なシェルターを置いている神石高原町の旧キャンプ場、スコラ高原を地元とする久保田龍泉議員が狂犬病予防接種の遅れとともに、シェルターが周辺の環境にもたらす悪影響を質したのです。

 久保田議員は2017年9月20日の町議会で「現場では悪臭がする。糞尿が適正に処理されていないからだ」と指摘したうえで、その土地を地元地権者とPWJの間に立って町の第三セクターが賃貸借の当事者になっていることも批判しました。

 入江嘉則町長は狂犬病予防接種について「年度末までに全頭接種が完了するとの報告を受けている」と、広島県警による翌年の家宅捜索を考えれば、楽観的に過ぎる答弁をしていました。

 汚染問題について町長は「糞尿は現在、人間用の浄化槽で処理しておいます。さらに専門家の意見を仰ぐよう指導を行っている」と答弁、続けて担当の砂田環境衛生課長が「動物用の浄化槽を設置するようしっかり指導のほうを行ってまいりたい」と説明しました。

3、PWJを指導しきれず苦慮

 町は県庁の担当者も交えてPWJと話し合いを続けてきているのですが、県が開示した関係行政文書によると、進捗ははかばかしくないようです。

「廃棄物の処理や排水など、周辺環境への影響も考えたシェルター運営に努め、地域住民とのトラブルが起きないようにする」とはいうものの、法的な義務が不明確なことや技術的な効果がはっきりしないこともあって、町役場がPWJを強く指導できていないようなのです。

 例えば、2018年12月11日に動物愛護センターが県東部厚生環境事務所福山支所にPWJ犬舎排水処理問題の扱い方を相談した記録「PWJスコラ犬舎の排水処理設備の状況について」を読むと、環境事務所は「水質防止汚濁法の対象にならないため同法違反には該当しない」と回答していました。

 糞尿の扱いも、産業廃棄物か一般廃棄物かという議論が県庁内でも続いて、町役場が議会で約束したようにはPWJを指導しきれていないようです。

 入江町長はPWJと包括協力協定を結ぶなど大西健丞代表理事との強い結びつきを「協働」のまちづくりに利用していますが、議会で批判を浴びる不都合な話題になると、PWJを誘致したのは前町長時代だと責任転嫁するかのような態度もとります。役場職員もやりにくいでしょうね。

4、センター頭ごしに部長と相談

 PWJが「知事と話した」といった2019年1月8日の会議は、その1年前に県庁の田中剛医療・がん対策部長(現・健康福祉局長)の指示で始まった県とPWJのピースワンコ問題を話し合う協議の一環でした。

 シェルターの汚染問題については、会議録の末尾に手書きで「PWJ談:浄化槽については先月東部HCと役場と協議し、■黒塗り■水質汚濁防止法対象外なため、周辺住民と対話して対策を講じていく■以下黒塗り■」などと書かれてあるのみでした。

 狂犬病予防法に基づく登録や予防接種が出来ずにいたPWJが何者かが狂犬病予防法違反を警察に告発しようとしている動きを察知して、田中剛部長に対応策を直訴したのが2017年12月の年末休暇中でした。

 所管の動物愛護センターの頭越しに狂犬病予防法接種の遅れを打ち明けられ、対応策への協力を求められた田中部長は部下の食品生活衛生課長らに対応を検討するよう指示しました。

 ちなみに田中部長は厚生労働省から県に出向した医系技官でPWJの大西健丞代表理事とも旧知の間柄のようです。広島県にもその点を質問しましたが、県広報からは「プライベートなことは回答しない」との説明を受けました。

 大西さん、なぜPWJの職員が年末休暇に入っている田中部長にわざわざ相談を持ち掛けたのか、私はその動機や背景を知りたいと思っています。教えてください。

5、「窓口がわからない」と不平を言う

 広島県はPWJの相談に乗りました。年間一千数百頭もの規模で広島県内の動物愛護センターから捨て犬を引き取っていたPWJ/ピースワンコが狂犬病予防法違反を犯したのでは、県の立場も丸つぶれになるため、広島県は違反状態を解消するための知恵を授け、告発封じに協力したのです。

 県は部長、課長クラスを総動員してPWJとの協議を始めますが、その過程でPWJ側からは狂犬病予防接種の費用負担への助成など県に金銭的な負担を求める要望まで飛び出していました。県は他の団体に対する対応と公平を欠くことになるとして突っぱねていますが、それ以外にもPWJは様々な要求を突きつけ、県に対応を迫りました。

 情報開示請求をしても、その論点の多くは黒塗りで非公開となっています。大西さん、いったい広島県に何をねだったのですか?

 挙句に「一年前に県庁部長に狂犬病予防法が間に合わない旨を相談した。その後知事にも話させていただいたが、今まで県より協力は得られていない」という発言です。

「ピースワンコについてどのような感想をお持ちか」

 PWJ職員は県の課長にそうも問いかけています。かつて所轄の動物愛護センターを飛び越えて県庁部長に狂犬病予防法違反問題への協力を直訴したことなど忘れてか、「県への相談窓口はどこか。複数あるかとどこが窓口かわからない」と言いたい放題です。

 県は「事業者としての窓口は愛護センターになる」と淡々と回答します。当然でしょう。

6、「借り」があるのはピースワンコ

 PWJ/ピースワンコは、広島県に大きな「貸し」でも作った気になっているようです。

 しかし、「殺処分対象の犬を全頭引き取り、殺処分ゼロを実現する」という刺激的なキャンペーンを展開し、多額の寄付金を集めて潤ったのはPWJ/ピースワンコです。このコラムでも繰り返し紹介したように、PWJの多くの事業部門は赤字ですが、ピースワンコ部門だけは一貫して収支が黒字を継続しています。

 町役場や県庁に借りがあるのはピースワンコの側でしょう。

 その黒字はPWJの「一般管理費」ともなって、その法人経営の基盤を支えています。もうけを一般管理費として召し上げていく前に、浄化槽問題くらい片付けられないものでしょうか、大西さん。

 岡山県高梁市にある西山犬舎についても、先日、岡山県動物愛護センターが抜き打ち立ち入り調査を行った前日に犬舎を視察した高梁市議会議員が心配していましたよ。汚染水が湖に流れ込まないかと。


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