PWJの犬舎増築、法令順守・環境対策は後回し 議会で2年前に応酬

番外の神石高原町議会審議の紹介です。今度はピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が本部がある仙養ケ原とは別の山中、スコラ高原に作った第2のシェルターの問題点が取り上げられています。

2017年9月20日の久保田龍泉議員による質疑です。

広島県警による捜査に先立つことおよそ9か月、久保田議員はPWJによる狂犬病予防法違反の恐れを指摘していました。予防注射の未接種、犬の脱走問題などです。

しかし、町役場はPWJが対応すると説明するばかりです。担当課も現場にもあまり足を運んでいない様子で、議員の不安や苛立ちが伝わってきます。

同議員は、PWJが犬の糞尿処理のための専用の浄化槽を整えないまま収容施設を拡大して、環境汚染を起こす恐れも指摘しています。

町役場は、第3セクターを地権者との間に介在させてPWJが土地や施設を利用できるよう便宜を図っています。都会からやってきた日本有数の規模のNPO法人に地域の未来を託すかのように入れ込む、いや縋り付く様子がよくわかります。農業や林業を廃れさせてしまった悲しい山村の姿です。

以下が議事録からの抜粋です。少し長いですが、とても濃い内容です。

Q 久保田龍泉議員
 まず,相渡の野方地区に犬の収容施設ができておりますが,この件についてお伺いをいたします。
 現在,何頭収容されておりますか,確認をされましたか,お伺いをします。
 狂犬病の予防注射は,毎年必ず1回受けて注射済み票を交付してもらい,鑑札と注射済み票は必ず犬につけておかなければなりませんが,全頭の注射をしてあるかどうか,また現場での確認はしてあるか,お伺いをいたします。
 現場では,悪臭がいたしますが,ふん尿が,これは適正に処理をされていないからであります。これは,産業廃棄物であり,事業者が処理責任を負うが,ふん尿処理の確認と,どのような指導をされたのかお伺いをいたします。
 土地につきましては,地権者の同意を得て,株式会社帝釈峡スコラが仲介し,ピースワンコに又貸しをしていると聞いております。株式会社帝釈峡スコラは,株式の51%は町が持っており,町の方針が会社の方針となると理解をしております。帝釈峡スコラとして,キャンプ場として使用しないなら,仲介する必要はないのではないでしょうか。土地を返したらどうですか。帝釈峡スコラとして,幾らまで増やすつもりなのか,計画書はあるのか,お伺いをいたします。
 また,土地の使用については,地権者とピースワンコが契約すれば済むことでありまして,帝釈峡スコラは仲介をして何のメリットかあるのかお伺いをいたします。以上です。

A 入江嘉則町長
相渡野方地区の犬舎についてというご質問で,まず初めに犬は何頭収容しているのかというご質問ですけれども,9月1日現在960頭収容してると報告を受けております。
 次に,狂犬病予防注射はしてあるのかというご質問ですが,予防接種完了報告を随時受けておりまして,年度末までに,病気等が原因による接種猶予犬を除く全頭接種が完了するとの報告を受けております。引き続き,指導のほうを徹底していきたいというふうに考えております。
 それから,ふん尿処理の確認と事業者への指導というご質問ですけれども,ふん尿につきましては産業廃棄物ではなく一般廃棄物の扱いになります。現在は,人間用の浄化槽で処理をしております。随時,立入検査を実施しておりますけれども,さらに専門家の意見を仰ぐよう指導を行っているところでございます。
 次に,土地は株式会社帝釈峡スコラが仲介しているが,会社として幾らまで犬を増やすつもりか,また計画書はあるのかというご質問でございますけれども,土地の使用につきましては,犬舎を建てるときにときに地元の地権者の要望を受け,株式会社帝釈峡スコラとピースウィンズ・ジャパン,地元との3者が協議の上で現在の状況となってるというふうにお聞きをしております。株式会社帝釈峡スコラとして何頭まで犬を増やすという計画書等はございません。その都度,地元,地権者等を含め協議を行っている状況でございます。
 次に,株式会社帝釈峡スコラが仲介するメリットでございますけれども,犬舎のある場所は民地で,長年キャンプ場として使用してきしましたけれども,近年利用者も激減し,管理費,草刈りとか合併浄化槽の維持費,清掃などですけれども,そういった管理費がかさみ,経営を圧迫しておりました。このことは帝釈峡スコラ役員会などでも課題となっていたところでございます。会社といたしましては,確実な利用料が見込めると,その懸案事項について解消されたというふうに考えております。

Q 久保田議員
町長,この現場へ行かれましたか。

A入江町長
最近は行ってませんけれども,犬舎が2棟ですか,できたときは行きました。

Q 久保田議員
最近行かれてないということなんですが,近々行かれる予定はありますか。

A 入江町長 特に予定を入れてるわけではございませんけれども,ふん尿の処理等々,今話題というか,なっておりますから,予定を見て,行ってみたいというふうに考えております。

Q 久保田議員
この施設がつくられるとき,去年,一昨年ぐらいに着工したんですかね,話があったんが。当初は300頭ぐらい収容するんだということを私も聞いておりました。300頭ぐらいならどうっちゅうことないんじゃないかなと思って,そのままずっと,二,三回行ったんですけど,最近の話を聞くと,またこの前行きましたけれども,さっきも環境衛生課長,話がありましたが,現在960頭収容されております。それで,あそこの施設というか道路からおりて入ったら,左側に三,四棟ありますよね。ほいで,その上にブロック塀で,1反ぐらいな囲いで,ブロック塀でしたのが2カ所,その上にあります。へえで,道路を真っすぐまた奥へ入ったら,柵でまた一,二反ぐらいの広さの柵で囲ってありまして,現場用のハウスを三つ,四つ置いてありました。またその上にも同じようなことがあります。ほいで,一番奥詰めの高いところに,現在2カ所ほど新しい犬舎を建てております。これが8月の終わりに産業建設委員会で行ったときが基礎をちょうどしておりましたんで,もう今,大分たっておりますんで,工事のほう大分進んでおります。これが完成いたしますと,500頭収容するそうです。そうすると,あそこの地区だけで1,500頭の犬が収容できる,これ,近々,多分もう収容されるんだろう思うんですが,そういう状況でございます。
 狂犬病の予防注射とか,これは法令で定められているわけですが,報告を受けているということなんですが,これは報告だけでいいんでしょうか。現場の確認は要らんのんですか。

A 砂田環境衛生課長 報告といいますか,随時,犬の狂犬病の注射をしたということで,注射済み票の交付のほうを随時行っております。

Q 久保田議員
それは,注射済み票の交付を行っているということで,それは現場での確認ということは非常に難しいんだろうと思います。
 先日,3頭,犬が脱走しました。鎖かひもか何かつけて外へつないでおったんですが,3頭脱走したわけです。このときは危害がなかったんですけど,人への危害がありませんでしたが,もしここで犬がどんどんどんどん増えて,こういう状態がまた出たときに,その脱走する確率というちゃあいけんのんですが,それ,また増えては困ると思うんですね。そういうふうなことをしっかり指導してもらわんと危ないと思うんですが,危険だと思うんですが,どうなんでしょうか。

A 砂田環境衛生課長
現在,柵の鍵のほうが内鍵になっておりまして,中で犬がその内鍵をあけて脱走したと聞いております。その鍵のほうを外鍵にするよう指導して,現地のほうも修繕のほうを行っております。

Q 久保田議員
脱走したのは事実のようですが,鍵が十分でなかったということなんですね。外鍵にするように指導したということなんで,これは確認をされておりますか。

A 砂田環境衛生課長
確認のほうは今現在まだ行っておりません。

Q 久保田議員
確認をしてほしいと思います。
 次のふん尿の問題でありますが,ふん尿については産業廃棄物でなく一般廃棄物というような見解でございます。家で飼われて,1頭,2頭と非常に少ない場合はそうだと思うんですが,この1,000頭ぐらいの多頭飼いになる場合,産業廃棄物ではないんかなと思っておるんですが,これはなぜかというと,いわゆる事業活動によって排出されるものであるから産業廃棄物ではないかというふうに認識をしておるんですが,町のほうでこれは一般廃棄物と産廃の区分というんですか,あるいは町のほうが,市町村が対応するというようなことになっておるようなんで,町のほうが犬のふん尿は一般廃棄物という扱いになっておるんなら,それはそれでいいと思います。
 ふん尿の処理については,今,浄化槽ということが言われております。浄化槽で浄化しておるということですが,これはキャンプ場で使用しておった人間用の浄化槽でありまして,尿しかこれは流すことはできません。浄化槽の中に犬の毛が入ったりして,十分に浄化がしないようであります。ふんというかうんちですね,ふんは現場の人が拾って,新聞紙に包んで,町のごみに出しているようでございますけれども,これもきれいにとってないからにおいがするんではないかなというふうに思います。犬用の専用の浄化槽がありますので,このキャンプに使用しておりました人間用の浄化槽ではなく,この専用の浄化槽を設置するように指導すべきではないですか,お伺いをいたします。
 また,現場に行けばわかりますが,柵で囲って放し飼いにしているところもあります。ここのふん尿は,野っ原でありまして,草の上に垂れ流しの状態であります。これは,いずれは下流域は神龍湖に流れ込むようになっておりまして,いずれは環境汚染につながるというようなことも考えられますんで,こういうところをふん尿の処理はちゃんと指導すべきというふうに思います。見解をお伺いします。

A 砂田環境衛生課長
相渡の浄化槽につきましては,現在,人間用の浄化槽につないで浄化のほうをしておりますが,犬の毛等が入ってきますので,網みたいなもんで毛をとめてはおりますが,完全にはとまっていないものと思っております。犬用の浄化槽等がございますが,そっちの設置をするように,専門家の意見を仰ぐように指導のほうはしてまいっております。

Q 久保田議員
専門家の意見を仰いで指導ということなんですが,指導していただいて,実施をしてもらわんといけんと思うんです。そこの,強い指導言うちゃあいけんのんですが,それを実施していただくような指導をしていただきたいと思います。

A 砂田環境衛生課長
動物用の浄化槽を設置するようにしっかりと指導のほうを行ってまいりたいと思います。
Q 久保田議員
次に,土地の使用でございますが,今の答弁では地権者の方の要望があったということなんですが,その内容をお伺いします。

Q 小坂まちづくり推進課長
ピースウィンズ・ジャパンのほうの犬舎を建てるに当たって,地元説明会のほうもピースウィンズ・ジャパンのほうがされました。その中で,地権者のほうの方から,今まで帝釈峡スコラというところに貸して,相渡の野方の方々で地域振興を図ってこられた場所でもございますので,発祥の地と言えるべきところでございますので,引き続き株式会社帝釈峡も間に入って,ピースウィンズ・ジャパン,地権者,そして株式会社帝釈峡というところでその地を有効に活用していきたいという思いのほうが強かったのだろうというふうに思います。私が聞いておりますのは,地権者のほうから,株式会社帝釈峡スコラも一緒に入って,かんでほしいということであったというふうに聞いております。

Q 久保田議員
先ほども申し上げました,先日,産業建設委員会でこの帝釈峡スコラのほうに調査に行きまして,ついでと言うちゃあいけんのんですが,この犬の施設も見たわけです。スコラの社長の話では,当初話が来たのは,土地代を払うからピースワンコが貸してほしいというような説明があったんです。ピースワンコのこの団体を知らないので,この帝釈峡スコラを通してほしいというようなお話があったんで,地元の方が知らない団体に要望書というか要望を出すんかなと思ったんですが,そこらはどうなんでしょうか。

A 小坂まちづくり推進課長
議員がおっしゃられるところが一番最初の発端であったのであろうというふうには思います。私のほうも当時いましたけれども,ピースウィンズ・ジャパンのほうから犬舎を建てたいというお声がありましたけども,まずは地元の合意というところが一番大事ですよというふうなお話もさせていただきました。株式会社帝釈峡スコラの社長が三石さんということもございますので,地元の方ということもございますので,そういった形で地元と話をし,地元の地権者のほうもどうしてもそのピースウィンズ・ジャパンとなじみがないということもありますから,議員がおっしゃられるような経緯で,地元のほうが,帝釈峡スコラがかんでほしいということでなったのであろうというふうに思います。

Q 久保田議員
先ほどの答弁で,この計画書のことなんですが,会社としては計画書は別にないということなんですが,これは無制限に増やすおつもりですか。

A 小坂まちづくり推進課長
無制限にということにはならないというふうには思っております。その都度,犬舎を増やすといったときには,帝釈峡スコラ,また地元のほうへの説明をし,どういう状況であるかというの,合意が得られないとできないものと思っておりますし,その都度ピースウィンズ・ジャパンのほうも説明をしていただいていると聞いております。株式会社帝釈峡スコラのほうからも,地元の説明会があってこういう経過だったよというふうなのは,毎回毎回ではございませんけれども,お聞きはしておるところであります。ですから,計画書はございませんけれども,幾らでも増やすということには多分ならないというふうに思います。地元もある程度考えられるというふうに推察はしております。

Q 久保田議員
地元の方と言われますけれども,地元というのはどこまでを地元と言われるんかわかりませんが,野方地区なんか,相渡地区なんか,神石地区なんか,その方の中にも反対の方はおられるんです。もう増やすのはやめてくれという方もおられるんです。私が言っておるのは,この施設を,もうできたんだから,取ってください言よんじゃないです。これはもうできたんだから,1,500頭これから全部なりますよ。もうこれ以上増やすのはやめてもらえませんかということを言うとるんです。そこらはどうなんでしょうか。

A 小坂まちづくり推進課長
話し合いの場を,野方地区の集会,毎月されているというふうに思いますけれども,そういった野方地区の集会でやられているというふうに聞いております。それから,そういうお声が,地元の一部か総意になるかわかりませんけれども,あるようでしたら,もう犬舎が増築,増えていくということはないんではないかというふうに考えております。

Q 久保田議員
次の土地と土地の契約についてでありますけれども,土地を借りている場合は,管理費などの浄化槽の点検の費用が要るんですね。これは当然のことであります。もう帝釈峡スコラがキャンプ場として使用しておらんということになると,契約解除をすりゃあいいんじゃないかなというふうに単純に思うんですね。そうすると,管理費とか浄化槽の点検費用,こういったことも必要なくなるのではないかというふうに思うんですが,その点は町としてどういうふうに考えておるんですか。

A 小坂まちづくり推進課長
キャンプ場跡地のところの犬舎のほうの使用に際しまして,帝釈峡スコラのほうはピースウィンズ・ジャパンのほうから使用料,利用料という形でいただいております。平成28年度でいきますと,キャンプ場付近,浄化相当等も含めてでございますけども,100万円程度の利用料ということで収入をいただいているところであります。基本的には,あとトイレと,それから炊事場,それから浄化槽ということになりますけれども,管理する人等々もトイレを使ったりしますので,閉鎖ということにはせずに,そういった部分の必要な経費等々を利用料としてピースウィンズ・ジャパンのほうからいただくということで話をしているところであります。

Q 久保田議員
先ほども申し上げましたが,当初は300頭収容と聞いておりましたけれども,今では960頭ということであります。現在も2棟建設をしておりまして,これが完成いたしますと1,500頭の収容になるというふうに考えております。
 このNPOの団体は,活動資金につきましては寄附で賄っておられます。この寄附,ふるさと納税もそうでありますが,それ以外,ネットのほうでも寄附をしてほしいというような呼びかけがあります。この寄附で活動資金を賄っている場合,将来,資金がもしショートした場合,餌代等もなくなった場合,この犬はどうされるんでしょうか。町が後始末せにゃあならんというようなことも考えられるわけです。そういうことも考えて,この神石地区には私はこれ以上の犬を増やすということはしてほしくないということを思っておりますが,こういう声なき声もあります。だから,私は今回この質問をしたわけでございます。このことについてどう思われているか,お伺いをいたします。

A 小坂まちづくり推進課長
議員がご指摘のとおり,多くの経費をふるさと納税,またNPO団体独自の寄附金等々で賄っているのは事実であろうというふうに思っております。今後どこまでということもございますし,じゃあそれが言われるようにショートしたら,寄附が来なかったらどうするのかというふうなところも,今度ピースウィンズ・ジャパンのほうにも話をしながら,今後のことについても話をしていきたいと考えております。

Q 久保田議員
現在,仙養に犬舎があるんですかね。あそこは,現在どれくらいいるんですか。

A 小坂まちづくり推進課長
仙養ヶ原に一番最初にできたのが,町有地のところを貸し付けという形で犬舎ができております。たしかあそこが100頭,済みません,確かな数字がないんですけども。

QA 砂田環境衛生課長
仙養のほうには現在499頭,相渡と合計いたしまして1,459頭を収容していると報告を受けております。

Q 久保田議員
合計では,現在町内には1,459頭ということのようでございます。これが,あと,できますと500頭増えますんで,2,000頭は収容するということでございます。
 町長にもお願いというか考えをお伺いするんですが,この収容施設をどうかほかのところへ,土地を算段されて,どうぞ近くというか,家の近くというか,ここへつくってくださいというようなことはされんのんですか,町としてです。もう神石地区はいいですから。

A 入江町長 家の近くに土地を算段して……。

Q 久保田町長 家の近くでなしにどこでもいいから。

A 入江町長
町内のどこかでってこと……。

Q 久保田議員
そうです。

A 入江町長
それは,またこれからどれぐらい増えるのか私もわかりませんけれども,地元の,先ほど言われましたように野方とか相渡の方の地域の要望もありますし,仙養地区もあると思いますので,新たなところが選定できれば,それは町としてもあっせんをするのは可能かなと思ってます。

Q 久保田議員
今からどれだけ増えるかわからない,確かにそれはそうだろうと思うんですが,これは殺処分ゼロの政策ですから増えるんですよ。三原市にあります県の動物愛護センター,あそこから犬を持ってきょうるんです。あそこへ集めたのをこっちへ持ってきょうるんです。だから,増えるばっかりするんですよ。減らんのんですよ。だから,もう神石地区はいいですから,もう1,500頭の受け入れができとるんですから,どうか井関か町長の近くか,土地を算段して受け入れをされたらどうですか。

A 入江町長
井関がいいかどうかは別としますけれども,候補地があればあっせんをしていきたいと思います。

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