見出し画像

広島県動物愛護センター① 犬猫「定点引き取り」廃止が大きな転換点

 この夏、広島県動物愛護センター(三原市)を訪問しました。

 JR三原駅から車でおよそ30分走ったところにある本郷地区。その町はずれの山の中にあります。

 高低差があり、下の方が保護した犬猫を譲渡するエリア、上のほうが事務室や犬猫の収容施設や殺処分施設になっています。

 1980年4月、日本で初めて「動物愛護」という名称を使った施設としてオープンしたそうです。

 平成30年度(2018年度)版の業務概要によると、職員数は28人(うち非常勤18人)で、獣医師が所長以下10人(同3人)います。

 県の組織上は健康福祉局(18課)のうち食品生活衛生課の出先機関という位置づけです。

 ちなみに5年前(2013年度)の職員数は25人(うち非常勤15人)です。人数は少し増えています。

 広島県の中で広島、呉、福山の3市は独自に保健所と動物愛護センターを運営しているので、県動物愛護センターはそれら3市を除くエリア(11市9町)を管轄しています。

 日本で最初に「動物愛護センター」を名乗ったとはいえ、つい最近まで引き取った犬猫のほとんどを殺処分するという難しく、つらい任務を背負わされた組織でした。

 1980年度の殺処分数は、犬14953頭、猫6174頭でした。年々減っていますが、飼育放棄を助長すると批判の強かった定時定点方式による犬猫の引き取りが2015年3月31日に廃止されるまで、犬・猫ともに千頭を超す規模で殺処分が続いていました。

 定点引き取りは、動物愛護管理法にも規定されていた措置です。

 広島県の場合、動物愛護センター発足時に県内13か所の保健所で行っていた犬猫の引き取り業務をセンターに集約しました。

 その際、センターから遠い市町村に配慮して、飼えなくなったり、飼い主がいない犬猫の引き取り場所を設けていたのです。

 県の資料によると、1980年度には230か所あったそうです。

 廃止直前の2014年度でもなお23カ所もありました。2014年度の殺処分数は、犬1065頭、猫1721頭でした。

 定点引き取りを廃止した翌2015年度から殺処分は激減し、2018年度は犬69頭、猫111頭となっています。

 いろいろな事情があって殺処分は「ゼロ」とはなりません。それでも殺処分「ゼロ」といわれているの理由はまた別の機会に触れようと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?