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大間マグロの謎を解く

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「大間まぐろ」のブランドで知られる青森県大間町でクロマグロ資源管理の実情を調べてみました。
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2023年6月の記事一覧

謎解き「大間まぐろ」⑥水産庁、尻屋崎など疑わしい港を訪問せず~TAC報告実態調査は「任意」で疑義情報扱わず

謎解き「大間まぐろ」⑥水産庁、尻屋崎など疑わしい港を訪問せず~TAC報告実態調査は「任意」で疑義情報扱わず

 大間漁協などで判明した大量の漁獲未報告問題をうけて、水産庁は今年3月から全国の主要な港で漁獲可能量(TAC)制度に基づく漁獲成績の報告がどのように行われているかの実態調査を進めています。

 全国およそ20の漁港が対象になると言われています。水産庁への情報公開請求で入手した行政文書によると、最初に訪問したのは宮城県の塩釜(3月3日)、次いで青森県の大間(3月8、9日)、千葉県の銚子(3月10日)

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「接待要求」「癒着」を廃絶する環境づくりが必要~利権・裁量が広がる水産庁

「接待要求」「癒着」を廃絶する環境づくりが必要~利権・裁量が広がる水産庁

 「漁協幹部が水産庁職員から接待を要求された」――そんな情報提供をもとに人事院は2022年度のある時期、水産庁に事実関係の調査を指示しました。
水産庁は関係者の事情聴取を進めたものの、国家公務員倫理規程に違反する職員による接待要求事実は確認できなかったもようです。その結果が分かったのは、つい最近のことです。

 漁協は、東日本大震災被災地の水揚げ回復を目指す「がんばる漁業復興支援事業」を利用して、

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謎解き「大間まぐろ」④漁業法違反の出荷業者は川崎北部市場にも出荷していた!

謎解き「大間まぐろ」④漁業法違反の出荷業者は川崎北部市場にも出荷していた!

 ヤミ漁獲されたクロマグロを大量出荷して漁業法違反で逮捕、起訴されている青森県大間町の仲買業者2社のうち最北水産が、神奈川県の川崎市中央卸売市場北部市場にクロマグロを出荷していたことが明らかになりました。

 販売を取り扱った川崎北部市場の卸売業者はこのクロマグロは国が設定した漁獲枠内のものかどうかを「確認はしておりません」(横浜魚類川崎北部支社)ということです。卸売会社としてとても残念な対応です

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謎解き「大間まぐろ」⑤報告徴求権を行使すれば事実解明はすんなり進む~2年前、農相は静岡市長に漁獲未報告分の調査を指示していた!

謎解き「大間まぐろ」⑤報告徴求権を行使すれば事実解明はすんなり進む~2年前、農相は静岡市長に漁獲未報告分の調査を指示していた!

 法令に違反して漁獲された水産物を卸売業者が扱っている疑いがある場合、卸売市場を監督する農林水産省はどのようなアクションを起こすでしょう?

 筆者が情報公開制度を利用して静岡市から入手した行政文書によると、静岡市中央卸売市場に漁獲報告をしていない青森県大間産のクロマグロを同市場の卸売会社が扱っている疑いを抱いたとき、農林水産省は市場開設者である静岡市に疑義内容を伝えたうえで、市が調査をして結果を

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