幼少の僕を魅了したモノ

雪の上を駆け抜けるあの快感は忘れない。

足はいつもより重力を感じ、自由を奪われてしまっている。

幸いにも魔法の杖を持っている。

早くリフトに乗りたい。

リフトは、僕を快楽の世界に連れて行く。

あと少し。

天国から見える白銀の世界。

僕は今から大冒険に出ようとしている。

しかし、恐怖は常に付き纏っている。

心配はない仲間が一緒だ。

行くぞ。

勢いよく魔法の杖を振りかざす。

板には魔法がかかり、徐々に加速しだす。

僕のは特注のターボエンジンだ。

風を切りながら、障害物をかわしていく。

気持ちいい。

視界に映る映像は一周で切り替わる。

脳の処理速度は最大値を記録し、オーバーヒート寸前。

到着してしまった。

特別な時間はすぐに終わってしまう。

名残惜しい。

そして、またリフトに向かって歩き出す。

頭の中は真っ白になっていた。

ただ滑るだけの行為は、多くの人を魅了している。

また今年の冬も雪山に行きたい。

                  --幼少の頃の思い出



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?