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#詩のようなもの

【詩】フィナーレ

【詩】フィナーレ

顔がぱっかり開いたら

異次元へのドアが開く

会いたかった顔の

見たくなかった表情を

幾度も潜り抜け

またぱっかりと開く

同じことが繰り返され続け

幾度も同じことを繰り返してるうちに

心が壊れないようにする術も身につけていく

頑張りすぎて

視力が弱まってきた頃には

もはや相手と自分の区別もつかない

それが一番楽な状態?

マーブル状に交わって

最も美しいところまできたら

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【詩】宇宙へ

【詩】宇宙へ

私が泣いていたとき

あなたはテレビを見てましたね

西陽が直に当たるリビングで

テレビの真ん前に体を近づけて

黄色い西陽に包まれたあなたは

金色に輝いていて

本当に神サマみたいに見えましたよ

小さな小さな子供の神サマ

あなたはあの頃夕方やっていた

鉄道が銀河を走るお話が大好きで

いつもお歌を歌っていましたね

汽車は闇を抜けるのですね

あなたを思うたび

私の身体は徐々に変化し

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【詩】シーズンレス

【詩】シーズンレス

追い立てられるように

消化される春

武装する夏

愛しむ秋に本懐を遂げ

冬に早くも終わりを告げる

惜しまれる日々に献杯し

いくつもの屍に口づけする

我が名はシーズンレス

年がら年中

四六時中

同じ服着て同じ顔

コスパが良い

ミンナノミカタ

そう

我が名はシーズンレス

コスパもタイパも

オモウガママニ

起承転結

七転八起

時代遅れ

みんな

未来永劫同じ顔して笑

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【詩】狂い羽化

【詩】狂い羽化

デザートカップで育てた蝿は 
蛹のときの3倍は大きく
どうやって身体を折りたたんでいたのだろうと
えらく不思議に思ったのをよく覚えている

狂い羽化したギンヤンマに食べさせるため
羽化させた蝿は結局のところ
骨折り損のくたびれもうけに終わった

真冬に羽化したギンヤンマは
室内でしか生きられない
生まれてすぐさま羽を負傷し
その羽は再び返ってくるような
シロモノではなかったから

飛べない彼、もし

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【詩】虫歯

【詩】虫歯

虫歯を削るとそこから夢が出てきた

譲れない思いはない

変えられない未来も

望んだ結末もそこにはなかった

それなのに

哀しくて

寂しくて

腹膜の下、空洞が吹き荒んで音を立てる

夜しんしんと積もる雪は

窓越しにしか見ることはできない

直に受けていたら

痛くて寒くて死んでしまうから

鉄格子越しに見る

クジャクやインコと同じ理屈だ

そう

要するに勇気がないのだ

だから私は夢

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【詩】処方箋

【詩】処方箋

大好きと3,000回口にするより

300回抱きしめることの方が有効です

本当の気持ちは言葉以外のものから伝わります

目から望みが

口端から嫉妬が

眉根から葛藤が

指先から無意識が

不眠不休にいつでも

こぼれ出ているのです

だから言葉はいりません

ただ抱きしめてください

これが処方箋です

【詩】桃色に意味を求めるのは間違っている

【詩】桃色に意味を求めるのは間違っている

桃色に意味を求めるのは間違っている

桃、スイカ、肉、肉、ニク、29。。

桃色の薫りは甘酸っぱい

生まれたての色はもちろん桃色で

死際も桃色に耀く肉塊になる

桃色は還りの色

終わらないループに

意味を求めるのは間違っている

【詩】Utopia

【詩】Utopia

クタクタシャツの夜明け

濡れた頬して高らかに笑え

どんでん返しの始まりだ、いざ

正義の明けの鐘は鳴らなかった

それでも未来は開かれる

大地の力を吸い上げて

歌え踊れ子供達

未だ見ぬUtopiaに向かって

【詩】try

【詩】try

コンプレックスに乗じて未来を変えようとする馬鹿者がいた

その名はtry

試すもの試されるもの試されて捨てられるもの

意志は予約され更新されるもの

義務教育、進学、就職がこれに然り

予約キャンセルも可能

あなたが本当の意志を見つけたなら何よりです

tryはdry

渇いた大地に導かれしもの

海に見捨てられ大地に育てられ

優しさに満たされながら

優しさに飢えているもの

逞しく誇り

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【詩】夕焼け

【詩】夕焼け

夕焼けは嘘をつく

何万回も嘘をつく

明日があるさと嘘をつく

今日を必死に生きれない者には

一生来ない明日という日なのに

また期待してしまう

明日があるさと

前向きになってしまう

惰性で生きた1日を

何か素晴らしいことを成し遂げたように

勘違いしてしまう

夕焼けは嘘をつく

今日報われなかった人のため

泣いて帰ったあの子のため

そして諦めが日常化した私のために

【詩】私とあなた

【詩】私とあなた

やさしさと申し訳なさはよく似た親友で

やるせなさとやり切れなさは兄弟です

瓜二つなのに軽蔑し合う

私とあなたのようなものです

【詩】宙ぶらりん

【詩】宙ぶらりん

昨日という日が閉じたのに

今日という日が開かない

そんなときは

そんなときには

あなたを思う

甘い雨のにおい

土で汚れたつま先に

少しカサついた

少年の手のひら

行かないで

と言ったら嘘になる

行っておしまい

と言っても嘘になる

宙ぶらりん

私の心よ

いつも

揺らぎ

震え

まだ

未だ

解を求めて旅を続ける

【詩】目暗よう

【詩】目暗よう

息を潜め

夕暮れの中

沈みゆく

太もも

しずる痛み

密やかに滑り

床汚す

昼下がりの

胸元

寒さにかまけ

漆黒に飲まれ

目くらようの

うわ言

偏屈な

痛みに負け

寂しげに陰る

ストロボ

引きずり右足

神頼み

船底に沈む

宝より薄い

望みにかけ

またいつかの

目暗よう

何も見えず

どこにも行けず

真っ暗よ

目暗よう

めくらよう

【詩】成れの果て

湯上がりの嘘は成れの果て

漆黒だ

垢じみた指を太陽に透かし

まぶしいまぶしいと

愚痴をこぼす

成れの果ての果てになろうと

明る過ぎて見えない世界に手を伸ばす

湿ったふくよかな手のひらは

確かにあの子の手のひらで

夜の高速道路のごとき火花が散る

一寸先は闇

いいえ

今までだって

見えるものなんて何もなかったじゃない

沈黙は金

いいえ

黙ってたって何も始まらない

うた

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